心は巧みなる画師の如し ─ 水のかたち(宮本輝)から
心は巧みなる画師の如し ─ 水のかたち(宮本輝)から
宮本輝の水のかたちのなかで、志乃子が
私ねェ、「心は巧みなる画師の如し」っていう言葉が凄く好きなの
-
心は画師の如し、じゃないのよ。
巧みなる、っていう言葉が付くのよ。
つまり、心に描いたとおりになっていくってことなのよ。
心には、そんな凄い力がある
だから、不幸なことを思い描いちゃいけない。悲しいことを思い描いちゃいけない。不吉なことを思い描いちゃいけない。
楽しいこと、嬉しいこと、幸福なことを、つねに心に思い描いていると、いつかそれが現実になる。お伽噺みたいだけど、これは不思議な真実だ
と語る。
「華厳経」の「唯心偈」に説かれた 「心は巧みなる画師の如く、種々の五陰(ごおん)を画き一切世界の中に、法として造らざるもの無し」
を引いているものだろう、とメモしておく。
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