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2014年3月 9日 (日曜日)

私にとっての「峠越え」  花も嵐もⅢ その69

峠が山深ければそれで良いというものではないと思う。道路だから、人々が暮らす中で行き交った歴史そのものが貴重で、そこにある足跡はその表現のひとつだろう。

峠越えを始めたころ、そんなことは考えもしなかった。険しい峠路で、なるべく人が通らないような寂しいところを選んで走ったし、標高も日記に書き留めていた。

くねくねと幾つもの山を越えてゆくことも大事だったし、麓の村へと至る道を走り切ることに楽しみを感じていた。

あるときから、季節の移ろいにも目を向け、花が咲くとその花にも興味を持ち、変わってゆく彩りを味わって歓んだ。

1人で山深いところに入っていっても孤独感は不思議にも感じなかった。むしろ静けさに包まれながら手ごたえのようなものを感じていたのだった。

オートバイで越える必要はなかった。ハイキングのときもあった。でも、車では行かない。もしも行ったとしても、それをカウントの中には入れたくなかった。

バイクを降りてしまったので、徒歩で越えるのが一番だと今は考えている。車で行ってもそれはそれで構わないとも考えている。

大切なのはその峠と、どのような気持ちで向き合うのかではないか。

バイクから離れて気がつくことがある。ある人が、バイクに乗り続ける人は、世間で一般的に言う「金持ち」だ、と話してくれたことがある。それを聞いてそうではないと思われる方も多いと思うが、「金持ち」という表現の与えるイメージに温度差があるものの、心も生活も豊でなければバイクには乗れないというのも事実だろう。しかも、心身ともに健康でなくてはならない。

私がその条件を失ったのかどうかは、難しいのだけれども、ひとつのステージとしてバイクという乗り物で旅をすることを、ひとまずやめた。もしも急に(賞金獲得や事業成功で)大金持ちになっても、バイクを買うことはしないと思う。

考えると複雑になるので、ひとまずこのことを考えるのは中断する。

1981年秋三国峠で

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