(続いてきて)、酒のこと
(続いてきて)、酒のこと
酒は、からきし弱かった。ビールをコップ1杯飲んで真っ赤になっていた。
面白そうだとか興味があるからといって、楽しそうに新しい酒を飲むことがあったが、それ以外では、旨い酒をひとくちだけ飲む人だった。
もちろん、勢い余って飲み過ぎたこともあったのであろうが、私が酒と出会ってから見かける父の酒は、非常に大人しい酒であった。いつも必ず、飲んだら眠ってしまうような人だった。
母が言うには、ドジョウすくいの隠し芸がとても上手だったそうだ。地区や職場の酒の席では、ほどほどに飲むにとどめて、そういう芸を披露していたのかもしれない。
決して多弁になることもなく、ヒトの話に耳を傾けるでもない。(難聴だったのであまり賑やかな席は好きではなかったと思う)
苦言を言うわけでもなく不平も言わない。怒ることもない人だった。(了)
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