おかえり
醒めないと決めて見る夢夏蜜柑 砂女
大学時代に早稲田西門で久しぶりにばったりあって、それが実は大学時代では1回きりだったという飯坂温泉の電器屋の倅ががいる。
彼は文学部で柄にもなく演劇などをやっていて、洒落にもならないのに4年も浪人して大学に来て、7年たっても卒業しないで、僕が先に東京を諦めた。「ちょっと旅に出て3ヶ月ほどたつかな」、と飲み屋で友だちを語るのに話していた言葉を思い出す。
3ヶ月ほど消えていても探さないでおこうと思っていた。で、もしそのままわからなければ、探せないから悲しんで、消えてしまったのだと思おうと考えていた。
近頃、自分が消えたあとの遺文ばかりを書いている。書き終わったら第二の人生を誰かの真似をして始める事ができると夢見ている。
兎にも角にも、おかえりなさい。
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