ほんとうは、何かを待っているのだ
冬の寒さがじわりじわりとやってくる。
満ち潮が波打ち際の人たちに気づかれないように
ザザ、ザザとくるのとは少し違う。
キツネやタヌキが人間を騙す手口のように、
明日には昨日を忘れさせて、
のほほんとしている私たちを欺くのに似ているのかもしれない。
わかっているのに騙されて、
冬になればこんどは温かい春を待つ。
春になると夏を恋しがり、
秋が本当は好きなのだと嘯く。
恋人に好きだというのも
30年以上も一緒に住むうちの人に、
無言の眼差しを向けるのも
まだ何か
もうひとつ何か
驚くものを待っている
……のかもしれない。
あさやけ…の作品は、年末の寒い朝に書いたのだと記憶します。
霜が一面に広がる枯野の向こうの地平線から朝日が昇ろうとしてた。
大吟醸…の作品は、中秋の名月が過ぎてしばらく過ぎた頃、
人恋しい秋の夜の切ないお話です。
ほんとうは、大吟醸なんて飲んだことないです。
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