花は桜の
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あたたかくなったり、寒さが急に戻ってきたりして、まさに三寒四温の日々が続いています。まもなく土筆が芽を出すのでしょうが、まだもう少し寒い日が続きます。
今年は例年よりも気温の低い日が多かったような気もします。寒さが厳しかっただけにいっそう春が待ち遠しいです。
2月のある日、県立博物館の移動展示「くらしの道具いま・むかし」というのを見る機会がありました。そこには暮らしのなかで昔から私たちが受け継いできた文化が並んでいました。
木の枡や湯たんぽ、蕎麦や米を粉に引く石臼などが展示で、現代っ子たちは、きっとそれらの多くを知らないようなものばかり。
昨今、省エネ活動などの影響もあり湯たんぽが注目されたり、薪を焚きつける竃や暖炉が見直されています。
しかし本来、これらは私たちの先人たちが暮らしてゆくうえであみ出してきたわけであり、生かしてきた知恵であるわけです。
そのことを考えると、エネルギーを見つめ直すことは暮らしの文化を振り返ることでもあるのだ、と気づくことができます。
「文化力」という言葉が少し鳴りを潜めていますが、素晴らしい環境を持続することは、その土地で芽生えた文化と暮らしの知恵を受け継いで守ってゆくことでもあります。
そしてそこに存在する「豊かさと満足度」にも県民性があってもいいのだろうと感じます。
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春という季節には花がつき物です。
三国志では桃園で誓いを果たし、中古では梅の花に想いを起こしています。現代、別れや出会いの舞台を飾る花は桜です。しかしながら、「サクラサク」という伝統的にも素晴らしい電報も今や電子のモノとなってしまいました。
大河ドラマでは西行が登場し、歴史物語に花を添えているのですが、寒さのせいで桜の開花が遅れ気味と予報されているようです。
西行庵のある吉野山奥千本のあたりの花が満開を迎えるのは、年度が開けた4月上旬から中旬ころのことになります。
昔、桜吹雪の舞う奥千本を訪ねたことを思い出します。ひっそりとした気品のある谷でした。
お弁当を手に再び吉野を訪ねたい、という念願が叶うのはいつになるのでしょうか。
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