沈丁花あの日のウソは朧月 ─ 3月下旬篇
瞬く間に三月も過ぎて行った。
こうして季節が巡り
歳を取り、
わたしは成長し続けるのだ。
3月22日(木)
▼沢庵でお茶漬けしたら父思う
20日は父の誕生日で
生きていれば81歳だ。
66歳で逝ってしまったことを思うと気の毒だが
そういう人生を
そういうふうに
満喫した人だったのかもしれない。
▼春の雲どこまで行っても君遠く
▼お別れの指切りの向こうに春の雲
春は切ない季節だ。
3月23日(金)
▼長い夜眠れぬ背中を感じてる
少し暖かくなってきたせいで
眠りが浅いような気がする。
眠れない夜を過ごしたのは
記憶にもないほど昔のことだが
春先は眠れないなと思いながら寝返りを打つことが多い。
わたしは隣で眠る人の寝息が気になって眠れない
というような繊細な神経の持ち主ではないので
眠れぬ夜を浮遊するように愉しんでいる。
朝は来る。
▼言い訳を考えつつ傘をさす
▼シャッターの音聞きたくてキミを見る
▼物語、曇る車窓の指のあと
通勤列車に乗ってくる高校生もいなくなって
静かな時間を過ごしている。
毎朝会う子供たち、今年度から3年生やなあ。
3月25日(日)
引っ越しは土曜日に済ませてしまって
日曜日はのんびりとしている。
▼この指にとまってほしい子逃げてゆく
▼沈丁花あの日のウソは朧月
▼豆鉄砲貴方が倒せるものならば
ぼーっと暮らすと、十七音のリズムを失ってゆく。
激しく熱した自分のほうがスリリングだ。
3月26日(月)
8階の窓から公園を見下ろす。
道路から坂道にぼんぼりついたのが見える。
嬉しいな。
▼窓いっぱいウソじゃなかった晴れの朝
桜情報は、カウントダウンとなった。
3月27日(火)
▼今朝の雲ひとつもなくて空白で
▼空白と言った貴方の心模様
▼もう住まないあなたの心の片隅に
これは、朝の通勤列車の中で思いついたものだ。
息を吐いたように春休みになって
みんなさようなら、またね、と別れを惜しみあい
4月になったら
熱く肩を組み、頑張るのだ。
新しい人と。
そんなことを考えながら
あなたを思ったのだろう。
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