続 三匹のこぶた (その3)
地震は突然やってきました。今までに避難訓練を何度もおこなったにもかかわらず、この地震のときには何をどうしたら良いものやら、すっかり大事なことは忘れてしまっていました。
レンガの家を建てたひー子は、子どものころに物語を聞かされてレンガの家は狼にも吹き飛ばされない丈夫な家だと信じていました。
けれども、大きなゆれが前に後ろに右に左にとやってくると、レンガとレンガの間には亀裂が走り、屋根ががたがたと崩れ落ちました。
ふー子は木の家を建てました。木でできた家は、レンガのように頑丈ではなく、火事になれば燃えてなくなるのが怖いよ、と教わりました。でも、狼に飛ばされそうになっても、しっかり作っておけば頑張れると信じていました。
地震が来たときは揺れました。ぎしぎしと音をたてて揺れて、窓ガラスが割れました。そして柱が倒れて、家は大きく傾いたままになってしまいました。
みー子は、藁の家でいいと考えました。
狼がやってきたときには食べられるので心配をしながら暮らしていましたが、近所のみんなが力をあわせてお互いを守りあう工夫をして、仲良く助け合いながら暮らしていれば、怖いものなどないと信じていました。世の中の悪いものは、自分たちの知恵で防げると思いました。
でも、火事になったら燃えてしまうので、火の用心には注意しました。
地震のときは揺れましたが、藁の家には窓ガラスはありませんから心配なし。柱も無いので倒れません。大きな揺れのときには家の真ん中で天井を見て揺れが静まるのを待ちました。藁の家は船のようにゆうらゆうらと動いていましたが、天井も藁の壁もみんな大丈夫でした。
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この物語は、3匹のこぶたたちがある日、突然の地震に見舞われたときのお話です。続 3匹のこぶた (その3) から続いてきて、こんどは、第4話になります。 みー子は3番目のこぶただったので、小さいときからお姉さんのお下がりの服を着て、残り物のご馳走をいただいて大きくなりました。それが嫌だったことは1度もありませんでしたが、周りの豚さんたちは、みー子ちゃんは可哀想だといいました。 藁で家を建てているときにも、いろんな人がやってきて、みすぼらしい家を見ては不憫だといってくれました。でも、みー子は自信を持って... [続きを読む]
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