夏休み思い出ぼろぼろ初恋の ─ 八月のはじまり(1日-5日)
8月1日(月曜日)
帰りの汽車の中で高校生がルービックキューブを夢中でやっていた。
今ごろそんなものが再び流行ってるのだろうか。
現代人はその解決方法を定式化してしまうと、解決するための努力を激減させる傾向が強い。物事を定式化した時点で知の発展は止まるということだ。
今高校生は解き方を知っているのだろうか、ということのほうが興味深かった。
8月2日(火曜日)
駅を降りて神社の森を見ながら昔を思い出した。
こどもの頃には、ものがたりを読んで森が出て来ても、森って何かわからなかったなあ。
しかしそれは大人になってゆくにしたがって解決してゆく。
僕は森の中に住んでいた。
そこから出ることもほとんどなかった。
だから、森ってどういうものなのかが分からなかったのだ。
*
八月になった。
むかし、職場にいた周子(ちかこ)さんの誕生月だ。確か六日頃だったはずだ。東京か埼玉かそんな遠くに行ってしまったな。あのあと私は、東の空ばかり見ていた日々があったな。
▼流されてあなたの棲んでいる海にゆく
ちょうど、出勤時間が満ち潮の時刻で、川の水もいっぱいだったのを、汽車の窓からぼんやりと眺めていた。
8月3日(水曜日)
汽車の窓から線路沿いに咲く月見草が見えた。
月見草。
黄色い花が切ないなあ。
夏は黄色の花が元気だ。
▼ヒマワリの黄色せつなく夏の恋
セミがとにかくヤカマシイ。
このごろは、クマゼミばかり。
▼さようならの言葉のあとの十二文字
千夜一夜を書いた。
静かにならなければ書けない、書き出せない200文字。
▼夜が明けてオシロイバナとここに居る
8月4日(木曜日)
カレーが食べたくなったのでリクエストをする。
キムチたっぷり入れてみる。
▼夏休み特急の窓にぎやかで
▼蝉の抜け殻が真夏の匂いする
8月5日(金曜日)
▼キムチ食べて今朝のオナラは臭かった
セミが鳴いているのをきくと、夏休みだなあと思う。夏休みってあっという間に終わってしまって、クラスメイトに会える悦びと過ぎてゆく夏の寂しさを感じるのだな。
▼ラジオ体操帰って一番カツオ擦る
▼夏休み思い出ぼろぼろ初恋の
ツマが桃を買ってきて嬉しそうに出してくれる。今の時期が旬で今食べると美味しいもの。これを美味しくいただくということは大事なことだ。常に季節に感謝をする。
▼白桃をがぶりと齧った七つのころ
(これは別日記に書いたのでコメントなし)
桃のころは、ももが一番好きといい、
梨のころは、梨が好きだという。
イチゴの季節は過ぎ去ったが、また来るから悲しくない。
▼チューされた赤ナスさらに赤くなり
なすび。
近頃の煮びたしに凝ってます。
« 白桃をがぶりと齧る | トップページ | 駅 »
「十七音 のおと」カテゴリの記事
- 命日やら結婚記念日やら 三月中旬号 (2020.03.15)
- ぬくたい雨やねえ ちょっとメモしておく 二句ほど / 冬苺 あるときは雨蕭々と冬いちご 飯田蛇笏 / 余生なほなすことあらむ冬苺 水原秋櫻子(2019.12.18)
- 12月5日の新聞から 12月5日の新聞から 東海俳壇(2019.12.05)
- 忘年会大事なことは胸に秘め(2017.12.23)
- 団子みて家族三人の時を思い出す(2016.01.27)
« 白桃をがぶりと齧る | トップページ | 駅 »
コメント