侘助 (わびすけ)
風邪の症状が思うように引かないのは、歳のせいだろう。突然、唾を飲み込むのにも咽喉に痛みが走り、のどぼとけの骨が突然外れてしまったのかも…と不安になったほどであった。しかしながら、26日から28日まで家でゴロゴロとしたあと少しだるさや咳が残ったものの29日には出勤した。幾らなんでもそんなに休むわけにも行くまい。
うちのんはお父さんが旅行に行くというので付き添いで出かけてしまった。風邪の厳しかったときに私は娘と二人で過ごしたのだが、やはり、居ないと家の中のバランスが悪い。仕事に行く支度も娘がしてくれるが、いつもすることがトントンと進まないので、家を出る時間がギリギリになってしまう。朝は、少し早めに出て、近所の軒先や畑を眺めながら駅までゆっくり歩いて行きたい。
コートを羽織った女性もちらほらと見かける季節だ。暖房器具が要らないギリギリくらいの季節が一番過ごしやすいな、と思いながら歩いていると、ちょうどその道の脇にの垣根で小さな蕾を見つけた。少し向こうの神社の境内からは人影は見えないが竹箒で落ち葉を掃き集める音が聞こえてくる。
朝霧や竹箒が掃く音に姿無き
侘助の蕾がそろっと葉の陰に
私の乗るディーゼルカーの警笛が、気温の逆転層を反射して遠くから聞こえてくる。そういう季節にいつの間にかなっていたのか。だから、秋はかなしいと誰もがいうのだろうな。 (10月30日、夜)
« 耳を傾ける | トップページ | 月のはじめに考える ―霜月 »
「十七音(侘助)」カテゴリの記事
- ふられても、 あのとき好きだと言えば良かった…… 11月下旬篇(2012.12.02)
- あの人は鬼を迎えに行ったまま 節分篇(2012.02.04)
- あけましておめでとうございます ─ つぶやく十七音・年末年始篇(2012.01.14)
- キミの髪を粉雪まみれにしてみたい ─ 一月中旬篇(2011.01.19)
- 初霜に白きねぶかや薄化粧 小雪篇(2010.11.28)
コメント