江古田(4) 〔2004年7月下旬号〕
江古田(4) 〔2004年7月下旬号〕
四畳半という言葉は死語かもしれない。裸電球のぶら下がった部屋だった。戸板を開けて部屋に入る。もちろん鍵などは無い。廊下沿いに窓があって、その反対側に1メートルほどの小さな窓が、道路に面してあるだけで、タダの四畳半に押入れがあるだけの部屋だった。
廊下を人が歩くとペタペタと煩い。しかしスリッパを履かないと靴下が汚れるのである。トイレや洗面所は廊下の突き当たりに1セットあり共同だ。しかし、朝や夕方に混雑した試しもないし、トイレにしても誰かの後で臭い思いをしたこともなかった。というか、そういう思いがあまりにも当たり前で苦にならなかったので記憶に無いのかもしれない。
ある日、友人が私の部屋に遊びに来た。夜遅くまで話していたので、さぞかし騒々しかったに違いないが苦情も無かった。そういう社会なのだ、この下宿は。
話が脱線したので戻します。その友人と向かい合わせで畳に胡坐をかきビールを飲んでいたのだが、その彼がふとしたことでコップを倒してしまった。そのこぼれたビールが彼のいた所から部屋を一直線に縦断して流れたことがあった。
つまり、部屋が大きく傾いているので、コップを倒すと高いところから低いところに向かってビールが一直線に流れたのであった。それほど部屋は傾いていた。
私はそんなオンボロな下宿が好きだった。
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