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2009年3月11日 (水曜日)

会釈 〔2003年11月初旬号〕

会釈 〔2003年11月初旬号〕

近頃、会釈という言葉は死語なのだろうか。

日が暮れるまでには十分に間がある時刻に、住宅街を私はウォーキングしていた。道の向こうを近所のお子さんが犬の散歩で歩いてゆくのが目に入ったので声を掛けた。こんにちは!と叫んだのだが届かなかった様子で、次に、○○君!と呼びかけてみた。首が私の方に少し動いたようにも見えたが、ネジの緩んだロボットのように再び元の方角を向いて、あたかも何もなかったかのように彼は過ぎ去ってしまった。
彼には私の声が本当に聞こえなかったのか、それとも聞こえたけど返事をすることができない事情があったのか。近所の皆さんとも、それが大人でも子供でも、挨拶を交わす機会が少なくなっている。高校生だと恥ずかしさもあってはにかんでいるだけの子もあるが、知らぬ振り、見えぬ振りで通り過ぎる人が多いことに驚く。地域社会が枯れている一面だろう。

早朝の散策では年配の方に深々と頭を下げられる。もちろん何処のどなたかは存ぜぬが、思わずつられて頭を下げる。その度に死人のように視線をそらせた彼を思い出す。

会釈をすることを忘れたのか、それとも親から受け継がなかったのか。そんな人たちが街で目立つのはどうしてなのだろうか。

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