絡む、絡まる、縺れる、纏う
絡むという言葉は、若者言葉で「交流を持つ」ということだそうだ。
やけにその言葉が、言葉として気に掛かっている。巷に氾濫している如く簡単に使ってホイ!と納得できるような感触ではなく、モヤッとしたものしか残らない。
日記サイトやブログで容易く「絡む」おこないが連想できるものの、私にはもっと深くて暗いところを流れる泥水を掬い取るような嫌な感触だ。
この言葉が気になりながらも・・・・
月曜から金曜までは余暇の時間をゆるゆると彷徨っている自分が居て、こういった問題をゆっくりと考えられないことが多いので、ブログにもあまりあれこれと思いつきでは書かないようにしているものの、やはり思い付きでポンと書き込みをしてシマッタ!と思うことも多く、改めて強制的に押さえ流ように心がける。
…のだが、昨晩は何が私の何処を突付いたのか、ふらふらっとアホンダラなことを書いている。普段の自分らしさだと言ってオシマイにすることにする。消してしまおうかと思ったらコメントがあったので、消しては申し訳ないし、残すことになった。
私のことなど知っても仕方が無いと思うが、実際に会った人が少し居るのでその方のコメントを大いに参考にされると実像は少し見えるかもしれない。飲み交わした人の言葉であれば、なおさら信憑性が高いだろう。
閑話休題。
さてさて、
この言葉について書きたいと思い、何日も前から気にかけ、紙切れがあれば余白に気の付くことをメモしたりしていたのだが、所詮自分のサラサラと書くメモ程度モノのには書き留めなくても記憶しておけるようなものも多い。忘れてしまったものは些細なことであったのだろうと諦めるとすると、大事なことは記憶にあるということか。忘れたとしてもそのうち、大事ならば再び思い出すだろう。
(つまり、メモはあまり当てにならないということだ)
前置きが長くなったが、この「絡む」という言葉が、
つまりは、簡単に出回っていることが私には「気に食わない」のだ。
意味は辞書に記されているとおり。PCにあった小学館国語大辞典(1988)を引いてみる。
◆絡む
自動詞として使うと
1.細長いものなどが、まわりに巻きつく。
2.言いがかりをつけてつきまとう。むり難題をしつこく言って困らせる。
3.事態がわかりにくく入り組む。
4.(1の比喩的用法)(感情や欲望が)つきまとってくる。「欲がからむ」「情がからむ」
5.登山で、山の中腹を回って進む。
他動詞としても使う。
1.細長いものなどを、まわりに巻きつける。
2.料理で、蜜、あんなど、ねばりけのあるものをまわりにつける。
◆絡める
他動詞として
1.つかまえてしばる。捕縛する。また、つかまえて監禁する。
2.なわ、ひもなど、細長いものを巻きつける。
3.(1の比喩的用法で、多く受け身の形で用いる)心を奪う。気持、感情をとらえる。
4.ある物事に、他の物事を関係づける。
5.登山で、障害物や通りにくい所をさけてまわり道をする。
◆絡まる
自動詞として使う。
1.細長いものなどが、まわりに巻きつく。また、うるさく人などにまといつく。
2.同じ場所から離れようとしないで、ぐずぐずしている。
└ └ └
◆縺れる
1.からまって解けなくなる。まつわりつく。からまる。
2.からみ合って乱れる。
3.事柄が複雑に入り乱れて混乱し、秩序を失う。事件が乱れて解決がつかなくなる。
4.言語・動作などが、正常さを失って思うようにならなくなる。
◆纏う、絡う
自動詞
1.まきつく。からみつく。からまる。まつわる。
他動詞
1.まきつくようにする。からみつかせる。また、絶えず側近くに置いて離さないようにする。
2.身につける。着用する。
*
「絡まる」1.の用例を広辞苑では以下のように引いている。
「道の辺の荊(うまら)の末(うれ)にはほ豆の可良麻流(カラマル)君を別(はか)れか行かむ」(万葉集)
他にもたくさん用例があるが省略します。
その用例が最高に素晴らしかったので、引いてみると面白い。
このように調べてみると、この言葉を使うことで、これまで生きてきた人生を綴れるのではないだろうか、と考えてしまう。
絡むという言葉に惹かれた人たち
いったい何を思いこの言葉に関心を追ったのだろうか
長い人生であった
様々な人が 男や女が 私の人生の上を歩いて行った
人生という物語では、
・女が
・仕事が
・事件が
・人間が
・社会が
複雑に、お互いに
・絡んで
・縺れて
・纏わりついて
そこには様々なドラマがあり似たようなことが繰り返されるものの、全く同じ出来事はどこに行っても起こらない。
辞書を読んでいると、妄想に陥るときと同じように自分が自分の世界に浸ってゆくのがわかる。
私の妄想の(記憶の?)物語には、愛があり、それがまた純愛であることもあれば、憎悪を伴なったり悪意を含んでいたりする。
劇的な出会いがあり、別れがある。
事件が絡む。
不運が襲う。
心が縺れて憎しみが生まれ、ベールに包まれたことも幾つか残る。
高校の日本史の先生が授業中に話していたのを思い出す。
「私たちは生きている間にひとつだけ立派な小説を書けるチャンスを持っているんだよ。それは自叙伝です」
何と高貴なことか。
この日記も然りなのだろうか。
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