「寒」
▼日の出、日の入りに変化が見える。
▼毎朝、6時に起きて新聞受けまでゆく。
この時刻に朝やけが見えるようになったのだ。隣の家とその隣の間から、真っ赤な空が見え始める。
一年で一番朝焼けが美しい季節だと思う。そのことをディスクジョッキーの女性が朝の番組で話しているのを聞くと、二度目の嬉しさが込み上げる。
朝日を見て美しいと思った。ただそれだけのことなのだが。
▼夕暮れが私を待ってくれている、、、そんな筈はない。
帰る時刻に空に明るさが残っている。
夕焼けがきれいだ。少し寒いので、ぶるっとした分だけ、美しさが身体に染み込む。
日暮れも少し遅くなった。
▼1月28日の夕方、県境の山中をゆく京都行きJRの窓から、赤紫に空を染める夕焼けと出会えた。少し不良な、いや、少し過去のある大人の心を握り潰したような赤色だ。
否応なく、自分の踏んだ過去を思いながら、列車の窓からその景色を眺めた。あるときは、北の大地に沈む夕日であり、さっきまで大騒ぎだった女子高生までもが話をやめて見とれるほどの美しさだった。また、あるときは、行きずりの人と、イケナイ予感を抱きながらの落日だった。
▼列車から楽しむドラマは瞬く間に終わって、京都に着いたら即座に待ち合わせの場所へ向かった。そこで、娘と待ち合わせて、知る人ぞ知る「串八」(西院店)で久しぶりにたっぷりと飲みました。ちょうど、娘も自動車教習の卒業検定に受かったというので、美味しい酒でした。
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▼そんなわけで、日記は放置してました。
その間に、日記にはコメントを下さった方々があり、一通のメールも戴きました。
お返事を書こうと思うて、今の季節なら「寒いですね」といきたいが寒くない。「温いですね」じゃサマにならない。
▼そういえば「寒」という題で俳句を募集していたなー(NHK中部)。集まっただろうか。
▼私の場合、「寒」といえば九年前の父の葬式の日でして、雪がちらちらと舞う寒い日だったのを思い出します。篝火に次々と薪を放り込んでも、炎は音を立てず燃え続けるだけでした。風は凍てつくように冷たく、凶器のように私に突き刺さりました。
▼今年の命日は暖かい日でした。気管支が強くなかったので最期までいろいろと苦しみながらだったことを思うと、もしも暖冬だったら春の誕生日まで生き永らえることができていたのかもしれない。だからどうだというわけではないのですが、ふとそんなことを思いますね。
▼葬儀の日の我が家の庭には咲く花など殆どなく、猫柳が逞しく天に向かって伸びていたのを思い出します。
もしも今なら、梅が咲き始めましたよ、と言うてやれるのに。
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