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2004年11月22日 (月曜日)

銀マド>時雨の冬近く…か (小雪篇)

きょうは小雪。

早や夏秋もいつしかに過ぎて時雨の冬近く

福永武彦の「忘却の河」を読んだのはもう二十数年前のことだが、私にあの物語をどこまで理解できたのだろうか。
ノートに、この一節を書き写したことだけが記憶に深い。

もう一度、昔の本を引っ張り出して読んでみてもいいなあと思う一方で、今の私にあの小説の心が理解できるだろうかという不安がある。今、あのときほどに心は純粋ではない。

先日、長崎に行った。遠藤周作文学館に立ち寄りたかったが時間もなく残念であった。またいつか来れることを期待しているが、帰ってきてから福永武彦の本を手にとってぱらぱらと見ると、遠藤周作や福永武彦に夢中になっていた二十歳のころがやけに懐かしくなってくる。

城君という友人が居る。今は年賀しかよこさないが、彼は私よりも1年先に卒業してのちに上智大学に転学して九州のある大学で助教授になりながら、今は牧師になってしまって横浜に住んでいる。そんな彼と二十歳のころ、キリスト教について深くはないものの、話したことが度々あった。彼の言葉ひとつひとつが私の純粋な感覚を刺激してくれたからこそ、私は忘却の河も草の花も、じっくりと、熱く読めたのだろうと思う。

長い年月は、私をすっかりすさんだものに変化させてしまって、いまさら、こんな話を彼にしかけて、思い出を引き出せるものでもなくなってしまった。

きょうは小雪。いつもの年よりも紅葉が早くやってきた割には、寒さが厳しくないように思う。コタツもファンヒータもまだ出していない。

日差しが優しくて穏やかだった日の午後、神田川の橋の欄干にもたれて、1時間でも2時間でも話していた学生時代が懐かしい。

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