宮本輝著 森のなかの海
或るトラックバックから(一部略)

新しいジャンルへと踏み込む。これって、後で考えるとすごい幸運な巡り会い。
恋人に出会ったような感動ですよね。(わたしは20年前です(照))

さて、わたしは宮本輝さんの大ファン。
タカコさんていう後輩と、「春の夢」の話をしてからハマってます。
ここまでハマるには、月日もかかったし、旅もしました。

再生のドラマを書く人と言われています。
ストーリーテラーとも言われています。
でも、私にはそんなことを言ってもらってる宮本さんはそれほど好きじゃないのですが。

やっぱし、読み終わると勇気が湧いてくるんだなー。ひとことで言えば。
| 2004-12-06 22:38 | 読書系セレクション |

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森のなかの海(上)(下) 光文社文庫 宮本輝

久し振りに宮本輝さんを読みました。(22号台風の夜に読了でした)
阪神大震災の朝から物語が始まります。震災の話だけが事実で、あとは、まさに宮本流のストーリーで展開します。物語を作り上げることにおいてはこれほどの人は他にいないと思う。

最初が少し現実っぽくなったので嫌だったけど、後半は大きな流れの中に、ドラマを作るポイントが確実に散りばめられて、当然の如く、輝哲学のような言葉が各所に登場する。非常にバランスよく出来上がった作品でした。その他の作品は、後半にやや息切れを感じるモノが多いだけに、予測が外れてプラスに転化しました。

新聞広告で見つけておいて、お店に行くのを決めたら、行って即購入しました。文庫のイラストも気に入りました。ただ、残念なのは、イラストを含めて本の表紙をスキャナで写しこの会議室で皆さんにお見せしたいので、輝さんにその旨をメールして許可をお願いしているのですが、残念ながら半月ほどしても音沙汰がありません。少しイメージダウン。ダメならダメ、良しなら良しと回答して欲しいな。

宮本輝さんは女性の主人公を書くのが上手です。私はその女性に随分と惹かれていきます。生き方であるとか、モノの考え方なども。他の作品の例では、「月光の東」という作品も、ひとりの凛冽な女性を主人公にして、スケールの大きいドラマを作り上げています。少しミステリアスに。

森の中の海では、主人公やその周辺の人々がほとんど女性で、その彼女たちの生き方や考え方が、私たちの実社会での些細なことを絡ませてちょっとした主張をしている。そしてそれは私たちの生きる姿であり、私たちの理想であり、夢の社会でもあり、哲学(ポリシー)でもある。

物語は当然のことながら架空のことでありますが、自分のアタマのなかにある喜怒哀楽が反応してしまう。だから、自分でも不思議なくらいのめり込んで行ってしまうのでしょう。
宮本輝さんは再生のストーリーを書くのがうまい、と言われますが、月光の東----これは賛否凹凸が大きいでしょうが----や森の中の海を読むと、「再生」とは何かがよくわかる。

読後・・・・、
信念を持つ自分に勇気が湧いてくるのがわかる。
森とは何か、海とは何か。考え続けています。

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宮本輝…何から読もうかな、という人には・・・・
短編なら「錦繍」、中くらいなら「道頓堀川」、長編なら「海岸列車」、のめり込むマニアになるなら「流転の海」----1部から3部まで文庫化されてます。2部は「地の星」3部は「血脈の火」----をお薦めします。

| 2004-10-17 20:58 | 読書系セレクション |