あらゆるところで
さまざまな書評が飛び交っています。

全然当てにならない、切って貼ったような感想。
それじゃ、カデナは語れない。

ごめん。
私も、たいした感想は書けない。

詩人の書く小説は好きだな。
親子、ともども。

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1968年という時代は今や確実に過去のものになっているし、多く人の心のなかには、もはや幾許の痕跡も残していないかも知れない。しかし、歴史が絶対に変化することはなく、そのあとに生まれた人たちは弛まなく成長を続けている。

カデナに存在した基地やそこから戦略爆撃機が飛び立っていったという事実は毅然と存在し、その歴史は止まったままだ。

この小説のバックグラウンドに流れる激しい歴史を振り返らずして物語の面白さも凄みも、小説としての味わいも深みも得ることはできない。

マルコムXが暗殺され、その3年後である1968年という時代にささやかに生き、登場人物たちは人を愛し、自分たちを愛した。そんな温かくも少し切ない物語だ。

作者の池澤夏樹と福永武彦は親子だ。ちょうど数ヶ月前からこの福永武彦の「死の島」に取っ掛かりきりでありながら、その親子という強烈な関係に引き込まれて、私は池澤夏樹を読み始めることにした。

この親子のそれぞれの放つ持ち味はまったく違うものの、底流にある共通のDNAをひしひしと感じながら、選択に誤りがまったくなかったことを確信したのでした