今井 むつみ
岩波書店
2010年10月21日

非常に面白い本であるということをまず伝えたい。
しかし、これを読んでもそんなに得することもないし、役立つ手段が即効であるわけでもない。

今井先生は、心理学の先生ですね。私は心理学という学問は一般教養でしか習っていないので、ロールシャッハなんて人の名前が出てきたような記憶しかない。

しかし、心理学は、文学部の中の理学系列の中から範囲を広げて科学の域まで入り込み、さらには数理学のセンスと脳科学や生理学の学理も取り込んで、さまざまな実験を繰り返し、面白い仮説からヒトの思考回路を探ろうとする。そこに、人類の持っている文化が微妙に絡まってくるのだから、めちゃめちゃ快感。

行動科学や精神科学のことを、私は学生時代に非常に興味を持って、それは数理科学を学ぶ人間(私)のある種の行き着くところであったのかもしれませんが、なんだかそういう気持ちを抱いた私の心のモヤモヤをすっきりさせてくれて、明快な提案をポンと置いてくれたのです、この本は。

ですが、
この本を読んで面白くないとか分からないとかいう感想の人もあるようですが、受け入れるような土壌や興味が整っていなかったのでしょう。
総合科学なのだし、実験も多いので、結構中身の濃いものになっているようです。


岩波新書もまだまだがんばっていて、こんなうすっぺらくても、分厚い内容で、さらに他の研究と統合化させてさらに磨きがかかるような本を出しているのだから、一安心ですね。

何よりも、今井先生。こんな売れそうにないというか、読まず嫌いを多く抱かえ、かつ知られていないかもしれないような学問を、よくぞ紹介してくださった。

やはり、子どもの発達過程の思考というのは、面白いですね。

少しでもこういう分野へ興味を抱いてくれるような若き研究者が増えることを祈ります。重ねて、金儲けや面白興味半分のマスメディアに悪用されないことも祈ります。