三浦しをん 風が強く吹いている

昨日の夜に読み終わって
寝不足になってしまったのです。

私は、あまりこういう作品は読まないのに、机には「まほろ駅前多田便利軒」の文庫が有る。

先に娘が読んでしまったらしい。

「神去村なあなあ日常」も読もうと思っている。

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でも
こんな漫画チックな物語は好きじゃない。

そのくせ読み返して、ウルウルしている。

秋に映画になるそうで
きっと映画は素晴らしいでしょう。

青春バンザイ。

風が強く吹いている
三浦 しをん
新潮社
\1,890
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ひとりの男のポリシーとひとりの男の刺激的誘発と、それぞれの個性がオンボロの下宿に集って、箱根駅伝に出場できるレベルになってゆく。一本の襷で10人の個性がつながってゆくその1年間を書いた青春の真っ只中を駆け抜ける物語だった。オマケに……ゴールでこのチームが、2秒差でシード校なってしまうという劇的で、ホロリとくるお土産までついていた。

全速力で駆け抜けたあとには静けさがあった。そう言いたい。

作者には「神去村なあなあ日常」で出会う。我が町の上流にある小さな村を舞台にした「神去村」を読み、村まで行って村人の話を聞いてきた。そのあと直木賞作品を机に積み「風が強く吹いている」に手が伸びた。

駅伝の話だとは全然想像しなかった。

冒頭にオンボロ下宿が登場し、それが私の学生時代の西武沿線の「賄付き2万5千円、風呂無で共同トイレ、部屋の扉は戸板スライド式、鍵なし、裸電球、四畳半…」という状況に非常に良く似ていた。

あの下宿にはスポーツマンは居なかったが、都の西北の法学部、商学部、文学部の連中で構成され、理系の私は異色人間だった。30年のタイムスリップをしながら引き込まれた。

「こんな作品を書く作家なんか絶対の好みとちゃうなー」とぶつぶつ言いながら次第にマジで読み始める。

人生は理屈ではなく馬鹿げたことに似たような始末の連続であり、似たようなことを作者は投げかけてない?と思うと真剣味が増してくる。

強くあれ、速く颯爽と駆け抜けろ、美しく羨まれるように綺麗になれ。そんな夢がある。しかしそれらが、なかなか言葉にならずに苦労している。私たちの夢を、何かで叶えたい。
それがこの物語ではないかな。ちょっとした哲学も散りばめてある。メルヘンだけど、バカにできないモノが有る。

それは、素直で実直で潔いもの。1回目に急いで読んだときは平気だったのに読み返すたびに目頭が熱くなる。
| 2009-07-30 10:13 | 読書系セレクション |