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2019年7月11日 (木曜日)

福岡伸一さん  実験科学の世界では、仮説にぴたりと合致するような結果が得られることはまずないといってよい。その際、ほとんどの研究者はこう考える。自分の仮説は間違っていない。ただ、実験の方法がよくないから、よいデータが出ないのだと。そこで条件を少しずつ変えて、繰り返し実験を行うことになる。しかし、ほとんどの場合、実験がうまくいかないのは、実は、仮説そのものが間違っているからなのだ。

(福岡伸一の動的平衡)常に自分を疑えるか(2019年7月11日 )


 だが、研究者は頑迷なので自説に固執してしまう。かくして膨大な時間と試行錯誤が浪費される。なので、科学研究にほんとうに必要な才能は、天才性やひらめきというよりは、むしろ、自己懐疑、失望に対する耐性、潔い諦め、といったものとなる。

 

 逆に、実験科学の世界では、時として、思い描いたとおりの、いや、想像以上にすばらしい、見事な実験データが得られることがある。こんな時、研究者に求められることは何か。ぬか喜びしてはならぬ、ということである。実験の方法に穴があるから、見せかけだけの結果が出ているのかもしれない。つまりここでも自己懐疑、(希望に対する)耐性、諦め、が必要となる。

 

 英語にはこんな言い方がある。too good to be true(できすぎは、真実ではない)。もう少しだけ研究者に冷静さがあればあの「発見」はなかった。そんな誤謬はいくつでもある。(生物学者)

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