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2018年7月 5日 (木曜日)

又吉直樹 劇場

40年も時代が過ぎれば文芸作品を読む状況も変わってくる

作品との出会いがもしも昔のようなものであったとしたらもっと違う感想を書くのかもしれない

作家の顔も生い立ちもプロフィールもそれほど知らずに、たまたま手に取った本の裏表紙にある出版社の作品群のなかから二、三行の概要を参考に面白そうなものを選んだり、新聞の片隅にあった出版案内でタイトルが気に入って買ったりするような出会いだったとしたら、わたしはもっと又吉直樹という作家に、大きな美しい芸術的なロマンを期待するのかもしれない

つまり、かつて遠藤周作や宮本輝や司馬遼太郎に出会ったのと似たような出会いであったら、ファンになれたのかもしれない

現代作家は作品を発表するときからそのようなイメージを読者にもたれ、メディアに騒がれ、各種の賞が味方をされたりあるいは邪魔をされる

できる限り昔風に又吉直樹を読みたいし、読んだ方がきっとこの人の作品を味わえるのだろうと思う

わたしはテレビを見ないので、お笑いのタレントでテレビに出ている人であるということくらいしか知らないだけど、結構それでもそれが邪魔をした

先に読んだ人の感想や、新聞雑誌の評価も邪魔だった

というわけで、ひとことで言えば、ポテンシャルは計り知れないが、面白いセンスを持っていて文学というものをきちんと書いている珍しい現代作家ではないかと感じたのだ

「きちんと書いている」ということは、クソ面白くないような面も受け継がねばならないし、自己陶酔も必要だろう。理屈も詩文も書く

いつまでたっても売れずにいて、いつか売ってやろうというようなハングリーも必要だがこれについては出発点が華やかだっただけに、叶わなかった

わたし好みでなかったというか、気に掛かった点が一つあった。愛を感じる時にもっと激しく揺れ動いてくれてもいいように思ったのだ。これは前作でも感じたことだった。燃えていないような淡々としたところがこの人の味なのだろうか

ポイントを損してるぜというと、それでいいのですと言われそうであるが



又吉直樹 劇場

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