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2017年12月 7日 (木曜日)

羽生善治棋聖史上初の「永世七冠」

両親は将棋を指さないので家には将棋盤も駒もなかった。将棋の存在を知ったのは小学校一年の友人の家。それも最初はまわり将棋やはさみ将棋。高度成長期前後の子どもとあまり変わらぬ将棋の「初手」である。

小学二年で将棋クラブに入ったが、あまりに弱くて、本来なら八級からスタートするところを十五級からとなった。将棋の羽生善治棋聖(47)。第三十期竜王戦を制し、史上初の「永世七冠」を達成した。幼き日、人よりも低い十五級からとぼとぼと歩き始めた険しき道は誰も見たことがない頂へとつながっていた。

普通の子どもならへこたれそうな十五級からのスタートはむしろその小学生を将棋のとりこにしたという。少しずつ少しずつ着実に級が上がっていく。それが楽しい。何よりもどんなにやっても勝つためのコツが分からない将棋が、おもしろくてしかたがない。

旺盛な好奇心と探求心。それが普通と変わらぬ子の才能を開花させ、「永世七冠」の道案内役となったのだろう。

色紙には「八面玲瓏(れいろう)」の「玲瓏」の二文字を書く。山の頂からながめる澄んだ景色であり、迷いのない心境のことだと語っている。

将棋のコツは今でも分からないという。今その頂に立ってこれまでの歩みを振り返り、その景色に満足しているだろうか。その好奇心と探求心はそれを許すまい。さらに高き山を探し、顔を上げている。

中日春秋 12月6日


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