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2017年12月17日 (日曜日)

永六輔『職人』 から

永六輔『職人』 から

この書の中から興味深いエピソードを引用していうものがあったのでもらってきた。

作者は蕎麦猪口が好きで集めていた。


 京都で陶芸家の河合寛次郎の散歩のお供をしたとき、ある古道具屋の店先に蕎麦猪口が置いてあって、いいなと思うのがあった。河合がいくらなら買う? と聞くので、千円くらいかなと思ったが、「1万円でも買います」と答えた。「あっ、そう。ちょっと聞いてごらんよ」。古道具屋は5百円だと言った。嬉しさを隠して5百円で買ってきた。河合先生が「どうした?」というから、「5百円」だったと答えて歩き出したら、「待てよ、君、5百円で買ったわけじゃないだろうな」「いえ、5百円というから、5百円で買いました」「君はさっき、1万円で買うって言わなかった?」「1万円で買うって言いましたけれども、5百円ですって」「それはわかったけど、そう言われて5百円で買ったのか」(中略)「何で自分の言葉に責任をもてないの。1万円で買わなきゃ、買い物にならない」「だって、5百円って……」「そういうもんじゃない。自分で1万円で買うって言った以上、1万円で買わなきゃいけない。買物ってそういうもんなんだ。君を見損なった」。それで永は店に戻って、主人がそんなわけにいきませんと言うのを無理に1万円払ってきた。

 それに対する河合の言葉、「……いいなと思ったら、それはそのモノに負けたことなんだ。負けた以上は、負けた人間として勝った相手に礼を尽くさなきゃいけない。しかも君は1万円と自分で言ったのだから、1万円で買うのが礼儀だろう」

 「わかりました。1万円で買ってきたから言わせてもらいますが、もし向こうが10万円と言ったらどうするんですか」「10万円と言われたら、君、毎日通って、1万円まで値切りなさい。キミがつけた値段なんだから」

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