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2017年3月 6日 (月曜日)

宮下奈都 静かな雨 (読後1日が過ぎてからの感想)

  • 眠れば消えてしまう月
  • 速すぎてつかまえられない夢の場面
  • ふたりで歩いた帰りに浮かんでいた月
  • ただものじゃないこよみさん

そんなふうに走り書きを残して

これは宮下さんが夢で描いた物語の断片であって

それを丁寧に集めてきた作品なのだ

と思っていた

人のイメージをさらさらっと説明するように軽々しくは書かないで

不安と喜びとを混ぜ合わせて

不思議と不明とどうでもいいことなんかもミックスして

そこに優しさもブレンドして攪拌するようにしているみたいだ

そんなふうに言ってしまえば誰だってできるみたいに思えるのだけれども

宮下マジックのようなものがあって読者はそれに掛ってしまう

夢は不幸せあっても幸せであっても構わないし

男の子が情熱的でなくてもいいのだ

日常の詰まらないできごとをちょっとスパイシングすると感動的になってくるのだけど

そんなわかりきったことであっても

いつか覚えていたはずなのに

忘れてしまうでしょ

きっと宮下さんはそれが悔しくて

失ったり忘れたくなかったから

自分の中である日

幻のようにできあがった物語に

意地悪なスパイスも振りかけて

忘れかけていたドラマのようなドラマでない日常を

思い出して

夢の断片のように纏めたんだろうなあ

すらすらすらと書けないときもあったさ

その時間も苦悩も大きな凹みもそれ自体も姿を変えて物語にしてしまった

それが第一作だった

本当は消えていった作品が山のようにあったんだろうけど

いかにもこれですよ…みたいな第一作

宮下さんはもうこれを書いた宮下さんには戻れなくなっている

それでいいのだ

困ったことが僕に一つできたのですよ

鯛焼きを食べるときに宮下さんとこの物語のことを思い出すのです

そして恋するとか愛するとかそういうことを考えて

諦めてきた哀しい過去と叶わなかったいろいろを思い出して考えてしまう

物語には続きもなければ終わりもないのだ

おしまいのシーンって何だっただろうか

それでいいのだ

宮下奈都 静かな雨

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