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2015年7月 5日 (日曜日)

写真のない日記 ─ 花も嵐もⅢ その83

あのころのわたしは写真をのせることを嫌いました。どうしても、旅日記を文章で読んでくれる人を惹きつけたかったのです。

絵や写真が作品に入ることを評価しないわけではなかったのです。しかし、読み手の人が本当に没頭して読んでくれるためには目に飛び込むものは活字だけなくてはならない、写真があるとパラパラと写真を眺めて終わってしまい、中身までは読んでもらえないのではないかとと強く感じていたのでした。

それは今でも大きくは間違っていないと思います。ただし、写真のメディアが発達して充実したので、今では新しい芸術作品としての写真を取り入れた日記の形が出来上がっています。

これからはなお一層文字だけの作品は流行らないのだろうと思います。それって、落語を聞く人が減っていったのにも似ているかもしれません。40分も掛けて長い話を聞くよりも、1分で「がはは」と笑って「ハイ!次は?」って進む。

一見して難しそうであっても綺羅びやかで格調・品位が高そうだという理由で歌舞伎に人気が出たりしている一方で、目の前の多くの動画メディアでは、映像を重視する作品としてではなくストーリーに注目する映画が流行って(収益が上がって)いると、レベルの低下を感じざるを得ず少し残念になります。確かに儲からねばいけない訳はわかりますが、残念です。心も貧しく見極める感覚も低下する、そういう時代なんだと思っています。が、むしろ時代に乗り遅れる人はアホなんです。

というわけで、わたしはアホの走りだったのです。

将来を読み将来に生き延びてゆくこうとするならば、多少の考えの違いがあっても新しいものを取り入れてゆくことは欠かせない選択です。あのときのわたしも割り切って、多くの人に情報として旅のあれこれを届けることに一生懸命になってもよかったのだろうと振り返ることがあります。

コツコツと自分で切り拓いてきた旅の楽しみ方や味わい方を、他人がお金をかけて安易に実現していくのを見て真似されたくなかった。一種の横取りされるような気持ち─雑誌などの商業メディアに盗み取られるように感じたのでしょう。そうしていつまでも、自分の旅のスタイルにこだわり続け、譲りたくなかった自分の意地を張りとおした訳です。見方によれば失敗だった。

だから、わたしの旅日記にはそういうわけで写真がほとんどない。けれども、わたしの旅のスタイルはあの時代で完結したと思っています。

カメラは人一倍好きでしたからいつも持ち歩いていました。ちょっとイカす写真を撮りたいといつも思っていました。でも、ツーリングのときに撮った写真は狙い過ぎの傾向が強く記録作品としては結果的に駄作が多い。枚数も少ないのも残念です。宮本常一さんの写真の本を見てもわかるように、記録を撮る姿勢はとても大切です。

デジカメの時代になってからあまりハードな旅をしなくなった。天気予報にしても到達先の現地情報も簡単に手に入ります。そんな情報武装をして旅をすることに反発を持ち続けたのでした。iPhoneを持って日記代わりの写真を撮っているくせに、便利さ・手軽さゆえに味わいを奪い去ってしまったことを残念がって、新しい道具が提供してくれる旅の楽しさ、主張する感動や歓声を拒み続けたのです。

次第に旅が詰まらなくなってきます。完成ながらに未知を目指す旅が消えていくのを感じながら、新しい旅のスタイルってのがあるはずだ、それをを楽しみたいと思う。恩返しもしたいと考えるようになってきました。情報がお金で買えて安易に流通するようになった時にバイクをやめようと思い始めます。

そしてそれから数年で手放してしまいました。39年のバイク生活でした。でも終わったとは思ってません。スタイルたを変えて再開することだってあるでしょう。根っからのバイク好きですから。

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