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2015年5月21日 (木曜日)

車谷長吉 追悼  再読 ─ 小満篇

 闇に光る小刀の迫力車谷長吉さんを悼む
と題して万城目さんが追悼を書いている。

(記事から引用)
二十のころ、私はだいたい気分が暗かった。将来、何をしたらよいのかさっぱりわからず、だいたいぽかんとしていた。そんなとき、車谷さんの小説が身に沁みた。

言葉のとおり、ページに印字された文章が目から溶けて、血液へと流れこむのだ。その成分はおもに毒だった。毒が血肉に心地よく沁みこむ。本を読んで、そんな奇妙な生理的感覚に陥ったのは、あとにも先にも車谷さんの文章だけだ。

小説のなかで、どうしようもない人生を送る車谷さんが描く主人公に、私は憧れた。お前のしょうもない悩みなんぞ、ゴミのようなものだと思い知らせてくれる、暗闇に光る小刀の迫力がそこにあった。

(大幅に省略)

わたしも感想を書いたときに

この作品が私を捉えて放さなかった理由は、この小説の根底を流れている生き様と、そんな寂れた人生がもたらす偏屈な眼差しと、日々の出来事に触発されて狂うようにいきり立つ感情の根源のようなものが、あまりにも私の人生と重なり合ったからだろう。この作者は、私のひとつ前のステージを走っているもうひとりの私ではないのか、とさえ思えてきた。感想文

というようなことを書いたが、車谷さんの作品には、心のなかまで震わせてくれるような波長があったのだと思う。

現在、またまた文庫を読んでいる。付箋を新しく用意して読んでいる。
結末を思い浮かべるともうその時点で泣けて来るから困る。

69歳だったそうです。19日の日記には、

車谷長吉さん、食べものを喉につまらせて。
なんとも、最後まであなたらしい。
寡作でしたが、素晴らしい作品、ありがとう。

と書きましたが、

人生ってこんなもんなんやな
これでいいのだ

とささやくことが増えています。

物理学で定義するような時間軸の上で、他人があれこれ言うような周期に合わせた生き方を避けて、自分を見つめて生きてゆく。難しいのはわかっているけど、やってみなくてはならないでしょ。


車谷長吉 赤目四十八滝心中未遂

天声人語(5月20日)
修行僧のような風情と言われることもあるが、失礼ながら筆者は任侠(にんきょう)の世界に属する人の匂いを感じてしまった。作家の車谷長吉(くるまたにちょうきつ)さんが文壇に登場した時に受けた印象である。ごく短い髪、鋭い目、こけた頬に、どこか捨て身な気配が漂っていた▼30代の大半、関西を転々として過ごした。料理場の下働きなどをしたが、極貧だった。「泥の粥(かゆ)」をすすって生きるような「世捨て」の時代だ。この経験がなければ「物書きという無能(ならず)者」にはなっていなかったと振り返っている▼金貸し一族の物語「鹽壺(しおつぼ)の匙(さじ)」を表題作とする作品集で三島由紀夫賞を受けた。時に47歳。自分自身の骨身に染みたことを、骨身に染みた言葉だけで書く。反時代的と言われようが、私(わたくし)小説でおのれの存在の根源を問い、代表作の『赤目四十八瀧(あかめしじゅうやたき)心中未遂』に結実させた▼変人といっていいのだろう。「私は原則としてズボンの前を閉めない」と書いている。原則、の2文字がなんともおかしい。48歳の時に結婚した詩人の高橋順子さんから「卦(け)ッ体(たい)な人」と呼ばれたのも無理もない▼本紙「悩みのるつぼ」の回答者としても異彩を放った。小説を書きたいという相談に、善人には書けないと答えた。作家は、人に備わる「偽、悪、醜」を考えなければいけないのだから、と。それは車谷さんの自負だったろう▼5年ほど前に書いたエッセーに「あと数年で死のときが来るので、その日が待ち遠しい」とある。予感があったのだろうか。69歳での旅立ちだった。

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