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2015年5月26日 (火曜日)

新藤涼子 「遅い」

アヤちゃんとの待ち合わせの場所へ行く前に
生島が海を見ながら思い出す詩がある。


あの帽子は
わたしがころんだすきに
波にのまれてしまったのです
ひろってください

帽子は波にのってただよっています
ほら
すぐ手のとどくところに
あなたが一生懸命
手をのばしたのはわかっています
今日は 海の水がおこっている日
あなたをさえ
波がのみこもうとしている
けど おそれずに
あの帽子をひろってください

わたしが願ったのは
帽子をとりもどすこと
ではなかったけれども


という詩で、小説では太字の部分だけを、行の中に埋め込んで引用している。
一節を検索するといくつかのHITがある。わたしと同じように車谷長吉さんの小説で新藤涼子という詩人で出会ったという人があって、ついその人の日記を読み耽って過ごした。赤目四十八瀧心中未遂の作品の所感も書いている日記(その続篇)もあり、嬉しくなっておっちょこちょいなことにコメントを書き残している。

--

車谷長吉さんが亡くなって、本棚にしまってあった「赤目四十八瀧心中未遂」を出してきて、相変わらず赤線が引けずに思案して、今の時代は付箋という便利なものがあるので貼りまくって、泣きながら読み返しています。

そこで、わたしも、むかしに読んだときには気づかなかった「新藤凉子」さんの詩に出会いました。なんやかんやで、このHPに辿り着いて、一息ついています。

わたしも自分のブログで感想を書いて、追加して、また書いて、を繰り返してきました。でも最初に読んだときの感想は未熟であっても、結構自分の本髄 に迫るもので、下手くそな感想でありながらも、車谷さんの作品はわたしを揺り起こしたのだなと、冷静に再び感慨に耽ってみたりしています。

新藤さんの作品は当県内の図書館にわずかしか在庫がなく、きのう電子操作で最寄りの図書館に取り寄せる依頼をしたところです。これからゆっくりと読めると思います。

赤目四十八瀧心中未遂の感想をあれこれと検索操作などであたってみても、どこにも作者の書いている泥臭くても純真な恋物語のことには触れておらず、 なかなか心から陶酔して読んでくれた人っていうのは少ないのかもしれない、と亡くなった作者のある種の無念さを想像したりもしています。

貴殿の赤目四十八瀧心中未遂の記事も拝読しました。とても嬉しいと思いました。

一冊の本を読んで、その中の本流とは少し違うかもしれないような書き方で文中に埋め込まれた一篇の詩に立ち止まった人がここにもあったのだということがとてつもなく嬉しいです。

このコメントは自分にも投げかけるもので、自分の日記にも書き残すことにします。
ありがとうございました。
ときどきお邪魔します。

--

というようなもので、コメントなんて知っている人にしか書かないのによほど嬉しかったのだろう。

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