2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
フォト
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ

京都日記(平成27年7月篇)

  • 鱧のお弁当
    京都日記
    平成27年7月篇

京都日記(平成27年春篇)

  • 焼き鳥
    京都日記
    平成27年版の
    春の日記です

京都日記(平成27年11月)

  • 渡月橋
    京都日記
    平成27年11月篇

« おざなりの まえがき | トップページ | スパ 2品 »

2015年1月16日 (金曜日)

佐々涼子 紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

平成23年3月11日の午後、東日本を地震と津波が襲った。その震災で津波に呑みこまれ完全に機能停止した宮城県石巻市の日本製紙石巻工場が復興する姿を取材して綴ったのがこの本だ。

この震災から3月で4年を迎える。この感想を書き始めた1月初旬は阪神大震災から20年という節目にも当たることもあり、防災について考えることが増えている。

自然災害のなかでも地震のように発生を防げないもので、発生周期が特定できないものは、目に見えない不安と恐怖を住民に与え続ける。レベルの差は大きく、言ってみれば楽観的な人もあるし、その逆の人もいる。大きな災害を経験した人は、それ以外にも心理的な傷を負いながら暮らしてゆかねばならない。

科学の力で防げることもあるが、完璧は難しい面もあるし、あまりにも過剰な防災対策は日常生活にも影響を与える。わたしたち太平洋沿岸・南海トラフに面している人々の多くは、阪神大震災も東日本大震災にも強烈な打撃を受けていないとも言える。

何百キロも遙かに離れた場所に住んでいるので、ルポルタージュのひとつひとつを理解できても、やはり本質的なところで体感していない弱みがある。それは自分自身にもわかっている弱みであるが、もやっとしたままの人が多いのではないか。

あの地震が発生したとき、わたしは揺れを体感した。職場は8階で机の下に潜り込もうとする女性も見かけた。船に乗ったときの大きな揺れのようにゆっくりと揺れた。偶然にも職場のTVモニターが議会関連中継を映していたので、それが急遽報道ニュースに切り替わり、海辺の町に津波が押し寄せるところを映し出しはじめた。仕事中であるが、他人事では済まされない恐怖がジリジリっと来る。これは日本中が大騒ぎになるのではないか。そう感じた。

偶然にもあの日の朝に、友人が赴任している女川の町の様子をインターネットのカメラやブログで見ていた。職場で発行する3月号のメールマガジンの記事のどこかに春の訪れの様子や情報、話題を組み込みたいと考えたから、そんなキーワードで検索すをするときにその友人(YOさん)が住んでいる女川町に目が止まった。明くる日に蟹祭りがあると書かれていたのを読んだばかりだった。

友人であるYOさんはこの日は東京に出張で、地震が発生したころは女川に向かって帰ってきている途中だった。奥さんと子どもたちは海岸からさほど遠くない会社の社宅に住んでいるので、津波に襲われた。職場の津波ニュースを見ながらYOさんの安否を心配したが、当人のYOさんは女川に帰り着けず仙台付近で足止めになり、実際に1週間近く、インターネットやあらゆる掲示板や伝言板で行方不明の家族の安否を探し続けた。眠れない夜を幾日も過ごしただろう。

わたしには、そのような人が身近にあった。それでも、現実にこの地域でどんな事態が起こっていたのかは、実際に行って見ていない分だけリアルではなかった。こればかりは、被害に遭遇した人々のナマの話を聞けば聞くほどに、当事者でなかったわたしの方は格差のようなものを感じたのだ。

ルポルタージュはその格差を、報道記事や写真、証言などだけで埋めることはできない。残念であるが仕方がないことなのだ。どうしても埋めるとするならば、国民全員が実際に被災するしか無いだろう。だが、それでは様々な方面で努力をしてくださった皆様に申し訳が立たない。だからこそ、新しいステージで災害に遭遇したならば、そのときはずっとずっと成長して逞しくなって、社会を再構築するために賢い知恵を次々と打たねばならない。そのためにも、歴史の日々をあらゆる角度から整理して記録に残し学んでおくことが重要なのだ。

ドキュメンタリーのドラマ風にもできようし、映像取材を大きく採用してTV映像ファンに訴えかけることもできるだろう。しかし、興味を優先してしまってはメディアの衰退だ。ひとつひとつのシーンや言葉の陰に秘められた綴ることもできないモノが、それは見えるもの見えないものも混在していて、それを伝えていけねばならない。そんな使命を持ちながらの作品だ。

この取材ノートや没資料なども含めて、もっと多くを読みたいと思わせるような内容だった。話は他でもすでに報じられているとおりで、製紙工場が団結して震災のあらゆる障壁を乗り越えて、半年で見事に復活する話である。

作者は書ききれないほどの人々から取材をしたことだろう。この作品には多くの人の思いが篭っている。それが伝わって来るのがわかる。

佐々涼子 紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

« おざなりの まえがき | トップページ | スパ 2品 »

BOOKs【読書室】」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46088/60988828

この記事へのトラックバック一覧です: 佐々涼子 紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている:

« おざなりの まえがき | トップページ | スパ 2品 »

写真日記(平成29年版)

  • 大福餅
    Days29
    日々の写真に
    コメントを
    綴ります

M's Zoom

  • チキン南蛮
    M's Days の
    フォト日記
    ぼちぼちと

写真日記(平成28年版)

  • 越乃寒梅
    平成28年の
    日々の写真に
    コメントを
    綴ります

写真日記(平成27年版)

  • 伊達巻
    平成27年の
    日々の写真に
    コメントを
    綴ります

日々是好日写真記

  • ハーモニカ
    860枚 平成18年から平成26年まで(写真日記)

BIKEs

  • 平成24年(2012年)最後の春(閏日)のKLE
    かつて
    バイク・ツーリスト
    だったころ

Walk Don't Run

  • ユース宿泊スタンプ帳
    忘却をおそれず
    記憶を記録として
    遺そうと思う