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2013年10月 9日 (水曜日)

菜箸や煙を纏う秋刀魚なり 寒露篇

8日は寒露であった。

窓を開けて眠ると夜風が冷たい。風呂あがりに軽く浴びている夜風は心地よいが、寝入ってしまうと大変なことになる。

 咳ひとつ赤子のしたる夜寒かな  芥川龍之介

ツマは、寒がりである。私よりも少し厚めの布団をかぶっている。それでも、今朝、のどが痛いわ、と言っていた。

確かに風が冷たいが、薄手の布団を肩までかぶって窓の隙間から吹き込む朝の乾いた風邪を吸いながらウトウトしているのは気持ちがよい。

サンマ寿司

▼菜箸や煙を纏う秋刀魚なり

昔のように薪を焚いて風呂を沸かすわけでもない。薪ならば、焚きつければ火が起こるのでそれを七輪に入れて魚を焼けばよい。

夕方におもてに出て夕空に明るく輝く白い大きな星(金星)をみながら、カラスなどが鳴いて帰るのを見上げて夕飯を待っていると、母が、風呂を焚いてくれとか、ついでに秋刀魚を食べるから焼いてくれとか、呼びつけられる。

秋の夕暮の家の裏口(勝手口の外)は忙しかったことを思い出す。

子どものころは、秋刀魚などという魚は高級だったのだろう。本当に旬の時にしか食べさせてもらえなかった。ふだんは、鯵の干物か、今ごろの季節ならカマスの開きか。

刺し身でサンマを食べるのも大人になってからのことだ。

薪で焚いた風呂は、釜が保熱をするので、湯は冷めにくかった。今の季節は真冬のように寒くないので、早い時間に湯に浸かったものだが、昼間の明るさが窓に残っている時刻であったりすると、少し開けて外の空気を吸ってみる。風呂の周りに充満している煙が隙間から入り込むと、どこぞの温泉よりも風情があったのではないだろうか。

むかしは、10月10日ころに町の運動会や学校の秋の運動会があった。米の収穫も今ごろだったのだが、麦を作るのをやめてコシヒカリのような品種改良された作柄の米が普及してからは、台風が来る前に米の収穫は終わってしまう時代になった。

そんな昔を語れる人が少なくなった。秋の夜は、おいしいコメからとれた旨い酒を飲みつつ、夜風に吹かれていたい。

お酒は、燗でも冷やでもなく、棚で眠っている温度がいい。

満月まであと10日ほどか。

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