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2013年2月 9日 (土曜日)

峠越え  花も嵐もⅡ その34

かっ飛びのライダーが峠を飛ばして行くのと違って、私たちバイクツーリストは国境としての峠を越えることに味わいを求めた。

そこで生まれたのが、

 山刃伐を芭焦と越えた夏の夢

という一句だったのだろうと思う。

いつも芭蕉の気分になって走り回っている訳ではない。

芭蕉の旅の様子を解説する本を読んでも、それほどロマンにあふれたものでもない。もしかしたら、芭蕉はロマンなど何も感じなかったかもしれない。

しかしながら、私たち現代の旅人は、芭蕉の旅を思い浮かべながら峠を越えてゆく

それはつまり、この回想記の最初でも触れたように「みちのく」というところが私たちにとって未知な場所だからだといえる。

峠の向こうとこちらには、全く違った市町村が存在して、言葉や食べ物などもそれぞれに個性があることも珍しくない。たとえそれが険しい峠であっても歴史の中の人々には様々な事情があって峠を越える必要があった。

塩の道として峠越えの交通が発達した例もある。塩だけでなく、海の産物を山の向こうの人々に届けること、もっと広い意味で衣食住にかかわる物資の交流は、峠が険しければ険しいほど深く人々の心に残っている。苦労や苦難を伴っていたからだろう。

その歴史的なものを追いながら旧街道を辿って行くと、暮らしぶりや言葉や味覚に、促成栽培で習得してきた旅の情報では得られない感動が私たち旅人を迎えてくれる。

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