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2012年11月14日 (水曜日)

ツマと旅する(その2)  花も嵐もⅡ その28

二十歳代ってのは、あらゆることで未熟だったのだと思う。それは未完成であるということと未経験であるということ、つまりはそれらを基盤として多次元の迷路の中から最善の策を見い出す力や多次元の迷路を脱出したあとの空間を読み切る力にもに不足があること、そしてそんな自分をまだ知らずに自信過剰傾向であるという特徴を持っている。
 
そのことに10年ほどの節目を経ながら少しずつ気づいてゆく。だから、御節介をして若者たちに経験談や説教じみた話をするのは良くない。彼らは時代に応じた失敗をすればいいのだ、つまり、かわいい子には旅をさせておけばいいのだということを自分に納得させることができたのが、ようやく孔子のいう「五十而知天命」のときであった。
 
二人が旅をした時期から20年以上が過ぎている。あのころの数々の旅は未熟であった。しかしそれを責めることはできないし、責められるような点もない。
 
1メートルか2メートル先しか見えない濃霧に巻かれた草津白根山の有料道路へ、明くる年にはツマと二人で向かった。私の歓びはツマの歓びでもあって欲しい。その簡単な決まりで私たちは東北にも九州にも出かけた。
 
長崎オランダ村というのが出来立てのホヤホヤですよ、と駅前の観光案内所で教わったその日、予定を簡単にそちらに変更したこともあった。何の計画も立てずに長崎まで遊びにきて、はてさてと考えながらのオランダ村だった。もっと事前に調べて行けば良かったのにと指摘を受けるかもしれないが、二人は電車に乗って近所の遊園地に出かける感覚で二三泊の旅に飛び出した。今ならば安宿であるとか評判のいいホテルを検索するのだろうけれども、そんなことをする時代ではなかった
 
長崎に着いて考えて、まず有名な雲仙の観光をして温泉に泊まった。天皇陛下も泊まったとかいう高級なホテルに飛び込みで泊まった。もっとオトナになってから回想すると凄く高かったのだが、そのころはそんなことでは凹んだりしなかった。次に泊まった長崎のワシントンホテルが前日の半額以下だったことの方が嬉しくてそのことを日記に書いた覚えがある。
 
地獄巡りといえば別府でも観光した。雲仙と別府がどちらが先であったかまでは記憶にないのだが、別府は結婚した年にバイクで九州を回った帰りだったはずだから、雲仙はそのあとになるのだろう。(1983年にオランダ村が開園となっているので、私たちがこの2つの地獄巡りをしたのは1984年のことなのだろう)
 
二人の旅は、それほど貧相でもないが、大人びたものでもなかった。ひょいと電車に乗り、駅前の観光案内所で宿を探し、手頃な価格の民宿などを探して泊まった。夕飯は宿で取ることもあったし、街に出て居酒屋で済ませることも多かった。
 
子どものなかった4年間はそんなこんなで旅をした。ああすれば良かったとか、あそこに行けば良かったなどというようなことは探せば幾らでもあろう。しかし、若者というものは未熟であるのだし、この未熟という靄の中を自分で道筋を求めて考え悩み続けていていいのだ。幾ら悩んでもその悩みは歓びでかき消されていて、後になってあぶり出しのように深い意味合いがわかってきて、「不惑」の年齢のころにやっと自分自身の糧になってゆくものだと思う。
 
そんな旅も、子どもが生まれてパタリと行かなくなり、連休になると私は二人を置いてツーリングをするようになってゆく。

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