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2012年9月15日 (土曜日)

武田百合子 ことばの食卓 (ちくま文庫)

武田百合子 ことばの食卓

武田百合子 ことばの食卓

ことばの食卓を読んでいる。
ずっと大事に読んでいる。
何度も繰り返して読んでいる。

富士日記を読んで以来、この人が好きです。

富士日記の感想は、

がすぐ出てくるのですが、図書館で借りたことをとても後悔しています。

武田百合子は、大正14年の生まれで私の父母とは6,7歳ほどしか違わない。

それだけに子どものころに母が話してくれたむかしの様子と武田百合子の随筆に出てくる風景や情景が違和感なく私に感じられて、読んでいて懐かしさのような気持ちも抱く。文化が浸透してゆく速さなどを考えると、山深い村で育っている私の父母が送った幼少時代と似ているのかもしれない、という想像を膨らませながら読む。そして、実家に帰ったら母にこの本の話をしてやろうか、などと考えたりしている。

戦争が海の向こうで始まっている。国民は質素な「食」を取りながらも、非常に幸せ感あふれる暮らしをしていたように書かれている。しかしそれは、そう見えるだけで実際にはとても悲惨だったに違いなく、武田百合子が裕福な家庭だったことを差し引いても、差別もない視点で社会を子どもの純粋な目で見ているのがとても面白い。

富士日記でもひしひしと感じるのだが、生きていることにおいて損得や優劣よりも、満足や幸せの感覚が伝わってくる。必死で暮らしている。それは悲しいほどに貧乏な社会なのにもかかわらず、幸せかもしれないと思わせてくれる。

21世紀の現代社会と武田の時代を同じ尺度で計れば幸せでないに決まっているのだが、読んでいても嬉しくなる。

エッセイの最初に「枇杷」の話がある。最高の作品を意識して最初に置いたとも思えないが、武田泰淳の顔が浮かぶようだ。二人の会話とその愛情が伝わってくる。美味さも染み出ている。

人は、梅干しが1個入った弁当の、赤い色がご飯に染みついたところを食べる感動を、どれだけ豊かになっても忘れてはいけない。忘れてしまったらもはや心は豊かではないのだ。

今の時代を武田百合子の視点で渡ってゆくことは難しいだろうけれど、女性が持つ愛する人を支えあげて踏ん張りながら生きている強さは、いつの時代でも普遍性を持って語れるのではないか。

これも、語れなくなりつつあるのかもしれない。味気ない時代を迎えている、と思う。

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