物語は進まないほうが愉しいかも。その10
物語は進まないほうが愉しいかも。その9 から続く。
ああそうか。あれはクリスマス前のことだったね。
浮いた話もそわそわした話も伝わってこないのだから、本当はどんな人かは不明で不思議いっぱいのその人は、どうやら一人でクリスマスを過ごしたらしい。
仕事納めのころにもメールがあって、今これを書きながら思い出せなくなりかけているほどに、ふだん着を纏ったようなメールで、(仕事が終わって)「これから、忘年会に行ってきます」と書いていた。
明るい人だから、きっと人気者なんだろう。
しゃきっとしたスーツの似合うちょっと厳しい教頭先生といったところかな。某名門高校で国語の先生で、吹奏楽部の顧問もやっていたというのだから、もしも私が生徒なら勉強も部活もきっと一生懸命になれて、国語の勉強もしっかりしてブンガク部とかに進学する…などという人生ドラマを作っていただろうな。
と言うわけで、ちっとも不思議が減らないまま年末を迎えた。
お正月には家にいて年賀を書いているというメールが来て、私も「寒いので家でゴロゴロしている」と返事を書いたら、「インドアな貴方にはそういう過ごし方もいいですね」とスパッとインドア派にされてしまった。本当はそうでもないのだと自分で思ってみたが、新しく出会ったヒトからはすっかり私はインドアな人なのだろう。なかなか人物を見る目も厳しい。
新年に「恋の罪」という映画のことを尋ねようと、メール本文に「恋の罪」と書いたので、
─ また新年からほかの誰かと間違えてメールしてきたのかと思ったわ
と厳しく返事が来た。
なかなかこの切れ味が鋭いなと、メールをもらいながらこういうスリリングさを愉しんでいる。
先週末には
─ きょうはこれからおでん屋さんで飲み会です
というメールで、食べ終わったら「おいしかったです」と来た。
いつか、いっしょにおでん食べに行きたいね、とは書けずに
─ おでんは何が一番好きですか?
と、どうでもいいようなことを聞き返したら、それには、まったく音沙汰なし。
もしも、この人に惚れる人がいたら、どうやって愛を告白するのだろう。そんなことを考えながら私は、ビックリする次の話題も探っているのだった。
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