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2011年10月19日 (水曜日)

マシアス・ギリの失脚 池澤夏樹

池澤夏樹の作品を読み進みながら思っていたのだが、現代の映像メディアが安易に金儲け主義的に映画を作ろうと試みても、その着想に仁王立ちになって、簡単には貴方たちに映画にさせてたまるもんか、と作品自体で主張しているようだ。

これは活字の作品なんだ。紙に書いた小説なんだ。と作品自体が言っているのですわ。

だから、絶対に映画には出来ないし、映画にしても面白くないし、こんな作品をそう簡単にシナリオに書きなおせるような人も居ないだろう。

終わりのほうに近づくに連れて、いっそう、この擦り切れ始めている作品を文庫本で読み、何度も戻って読み返し、時には音読をしてみながら、作品の物語空間というべき多次元の瞑想のようなものに浸ってゆく。

映像どころか、電子ブックも寄せ付けない。紙を一枚一枚捲りながら、インクで書かれた文字を目に焼き付けてゆくという、小説というものがこの世に生まれた宿命を私たちが味わい、さらに作者が作りあげた物語も愉しむのだから、これほどお得なモノは無い。

日本と親密な関係で大統領に上り詰めているマシアス・ギリなのだが、存分の悪戯を働く物語でもなく、訳の分かりにくい、読者にとっては正体も意味も不明な島人や亡霊、怪しい女も登場し、一体、何をやらかしてくれるのだろうか、何処が面白い展開なのだろう……という思いも持たされる。しかし一方で、話はきわめて比喩的で、社会批判的であり、そう、福永武彦の作品も連想するような側面も持ち合わせ、それほど濃い味も出さずに、読者を近からず遠からずの所に引き止めてくれる。

まったく詰まらないと思う人が半分居てもいいのではないか、といえそうなほどのスレスレの小説であるものの、この面白さは格別だった。

1月中旬に買って、同時に角田光代や岩波新書のちょっと難し目の心理学の本などを読み終わりながらも、マシアス・ギリは通勤列車と就寝前に読み続けた。読了が秋になってしまったのだが、夏の間に南洋の島の話を読めたのはイメージ的には少し助かったかな。

読み終わって、さっぱり感とドキドキ感が交互に余韻を引いている。同じ作者を連続的には読まない私だが、やはり不定期に読みたくなる作家の一人となりつつある。福永武彦にもこんな感じで深みにはまっていったのだったなと、私は苦笑いしてます。

マシアス・ギリの失脚

マシアス・ギリの失脚

(コメント追記)

こういうのを小説というんだな。
ラストではなかなか驚かされました。

さまざまな登場人物たちが、それなりに人物像として浮かんできて
数々のドラマチックなシーンも読者にきちんと伝わる。

魔法に掛けられたように
少しずつ読み進む。

これが池澤夏樹なんだなと思う。

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