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2011年3月 6日 (日曜日)

羽生善治 大局観 自分と闘って負けない心

もう40歳を回っていよいよ大物の道に歩みいった。だからこそ大局観という言葉がよく似合うし、羽生にふさわしい言葉だと思う。

今の時代には直結的にモノを勝ち取るとか、数字上の効率や理屈ですべてを切り開き、ノイズもなく目標にまっしぐらというスタイルが重宝され、時には美しいものだと称えられる。
スポーツにしろ政治にしろ、クリティカルでなければならない・・・・と多くの人は思っているのだろう。
でも、そうではないのだ。、とこの人もひそかに思ってはいまいか。(想像)

+

実は将棋のことはまったく知らないのだが、囲碁ならルールくらいはわかる。勝負というものはあまり好きではないものの、盤に向かってじっと考える将棋や囲碁は観戦をすることも多い。考える人の姿にはいつも痺れさせられるのだ。

この羽生善治の「決断力」には、前にも触れて、苦難に直面しているときなどの自分の頭を整理するのによかろうなどと、書いたか書かなかったか。でも、そんなことを思いながら、若い羽生、勝負の羽生を感じ取っていけた。いったいこの人の頭脳はどうなっているのだろうか、と探りを入れた。あの書物も普遍性が高い。


40歳を超えたから、などというのは理由ではない。この年齢を超えると人は余分なものを棄てて、生きることを考え始める。それは、生きてきたことを考えることでもあり、顧みる(省みる)ことでもある。生きることだけではなく、死ぬことも考え、働くことも、愛することも考える。悪とは何か、裏切りとは何かを考えたこともあろう。

羽生は、大局観を棋士の立場で気持ちよく解剖して、私たちに言葉で示している。勝たねばならないし買って何ぼの世界の人が自分の読みの力のピークは昔にあったとまで断言して、そこに今は大局観があるという。

閃きや直観、ツキや運、ゲン担ぎのことにも触れている。そういうものに対する私感を交え、克服してきたステップ(心理)も知ることができる。

私たちは将棋の勝負のような厳しい世界で生きているわけではないものの、日々その人なりに考え悩み苦汁を舐めて進んでゆく。若い時はがむしゃらに、そして年齢を重ねるにつれて老人らしく厚かましく図々しく生きるようになる。そんな中で美しく颯爽と進める人こそ、次の一手の背景にこの大局観を備えている人なのだ。

本なんか読んでもわからないし何も身につかない。身についたと思う人はそういう気分に浸れるだけで、錯覚だ。羽生は大局観について述べているが、これを掴める人は限られる。僅かばかりの理論と、様々な急展開(転回)と、身の千切れるような不運と、人には簡単に説明のできないような感動を経て、自分で見つけた人たちだけが肩を抱きあいながら語れるのだ。

その場を少し覗かせてもらえる新書なのかなと思う、この本は。

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