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2010年10月20日 (水曜日)

熊谷達也 セレクション


熊谷達也 氷結の森

相剋の森、邂逅の森と続く三部作として知られている氷結の森の面白さは、樺太からソ連へと主人公を流離わせて、しかも史実の中に物語を晒しながら、熊谷達也の荒々しい筆が人々のドラマとして纏め上げているところだと思う。主人公は北へ北へと逃げ延びてゆく。逃げるという言葉は相応しくないかもしれないが、行く果てに事件が待っている。

熊谷達也は「森」をタイトルに入れて描く三部作として、その「森」をどこまで意識し頭の中で熟成したのだろうか。それは、林であるとか海であるとか、はたまた山であるとかいうものでは許されなかった。森でなくてはならなかった。

そうして森を考える始めると、それはだだっ広い大地や閑散とした林ではなく人々が物理的にも精神的にも絡み合い侵し合い傷つけ合い、ときには助け合い励ましあうような人間関係の中に潜む人々の野性味を森の中に埋め込む必要があったのだ。そしてその中で、ときには激しく熱情的でありながらも冷静な視線で物語を描いてゆく。

作者自身が深い森に彷徨い入るときにこそ、このような作品は完成することができるのではないか。そういう意味では、三部作はこれで完結しなければならないし、新しく始めるためには今ここで完結しておき、新たなステージで洗練された作法を得て築かれてゆくのだろう。

ニコラエフスク・ナ・アムーレ(尼港)事件を参考にして物語は構想された。後半は少し色合いが変わって、いかにもスケールの大きな劇映画を見るようだった。しかし、おそらく物語は史実とは一切関係ないもので、事実と言えば樺太とソ連の厳しい寒さやその街の情景と、出来事を引っ張り歩く大きな事件だけが事実なのだろうと思う。

相変わらず、自然を見つめる眼が途轍もなく優しく、人を容赦なく切り捨ててゆく筆は厳しい。前作などに見られるような物語の中盤での緊張の途切れもなく、安定して読み通せるいい作品だったと思う。

| 2010-04-21 06:54 | 読書系セレクション |


邂逅の森 熊谷達也

熊谷達也の作品は、初期のころに読んだモノに読後感想を残しておらず、ずっと気にかけています。

もう1回読みたいけど、それなりに長いし、テーマもどっしりとしたものが多く、またそのうち読みます。

(最近、そういう本を再読したくて、それで人生が終わってしまうような気がする・・・。
つまらない本が多すぎるからか)

メも程度に感想を呼び戻した程度ですが・・・。


邂逅の森 (文春文庫)
熊谷 達也
文藝春秋
\690


「邂逅の森」と「相剋の森」はセットで読むことをオススメします。

邂逅の森は、大正時代に東北地方でマタギとして生きた青年の人生を描きます。自然と共に、熊と共に生きてゆくひとりの青年の物語です。直木賞です。

こういうのを読むと、さすが、直木賞!と膝を叩きたくなります。

熊谷達也が相当に気合いを入れて書いた作品で、細かいところまで行き届いた構想はもとより、文章で物語を書き伝えようという情熱が溢れています。美文ではないのですが、読者に伝わってくるものが多い。

題材として取り上げるものも、環境問題や自然保護、狩猟という文化と対峙する様々な人々の視点など、本を読みながら物事をじっくりと考えてみる、同時に自分も見つめてみると言うようなタイプの人には、素晴らしい読後感が残ると思います。

一部では、私たちが直面する環境保護という課題を考えるのに取り上げられたりて、自然と調和して生きるには大いなる畏敬があるのだというような喚起させる面もありましたが、私としては、背景はそうであっても、やはり小説として文章に溶け込み登場人物を味わい、熊谷達也の一番面白いところを味わうのがいいと思います。

| 2009-02-07 10:25 | 読書系セレクション |


モビィ・ドール  熊谷 達也

モビィ・ドール
集英社文庫
熊谷 達也
集英社
\700


熊谷達也の作品には、多かれ少なかれの参考文献が挙がっている。そういう点が好きなポイントで、着想や内容などが全くの出鱈目ではなく、じっくりと調査もしたものを読むという満足感もある。

私の仕事が環境と森林に関わるので、「森」の小説ではテーマやモチーフに大きく頷きながら、仕事の何かで紹介してやりたくなるような気持ちで読んだが、モビィ・ドールも決して裏切ることは無かった。自然と関わる仕事をしている私にも、結構リアルなお話で、引きつけられるいい内容だった。

「森」の小説よりも壮大さは無いものの、ちょうど真夏に読んだこともあるし、実際に(大昔に)伊豆七島へ旅した経験もあって、舞台が海に移っても小説として楽しく面白く読ませてもらった。

作者の無意識な性格なのか、こだわりなのかは不明であるが、比嘉涼子という女性に読みながら魅了されるような、そんな綺麗で知的で躍動感のある女性が登場して、ここでも、こういう女性を書かせたら上手いなあ、と関心する。
流れるような美文ではないのだが、男っぽい筆で、よく吟味して書かれたいい作品(マジメな作品)だと思う。

| 2008-08-20 16:49 | 読書系セレクション |


「ウエンカムイの爪」(熊谷達也)

きのうは、「ウエンカムイの爪」(熊谷達也) を読み終えた。彼の作品は、長くて重かった「邂逅の森」のようなものも良いが、この程度のものも読みやすい。
むしろ、長い作品は、少し力が入りすぎている感があって、いわゆる男の料理を食べるような感触がある。
よく吟味して書かれているし、書くことが好きなんだなというのが伝わってくるいい作品だと思います。

─ ─ ─ ─
メモから

邂逅のの森、相剋の森、と読んで、このウェンカムイの森ときた。

物語としては、逆に辿ったことになるが、それでも楽しく、面白く読めた。順にこだわらず読んで構わない。ひとつひとつがそれぞれ持ち味のある作品だ。

作風は、この三作にあたっては、揺らぐことなく、読み手を惹き付けるのも上手だし、流れのテンポも良い。

大事に読もうと思っていたのに、例の如く通勤の車の信号待ちを使って読むだけでも、すぐに読み切れてしまった。

動物の生態をよく調査しているし、それを読み手に分かりやすく提供しているところなどからも、自然に対して持つ作者の畏敬の気持ちなども伝わってくる。

| 2006-05-13 08:28 | 読書系セレクション |


漂泊の牙 熊谷達也

女性がいい。
美人で知的で行動的だ。

男がいい。
ぶっきらぼうで、野性的で、優しさを隠し持っている。

作品は面白い。
邂逅の森、相剋の森と較べて、また、一味違う。

詳しく丹念に調べて、じっくり考えて書いている。

そういうところが伝わってくる作品ですね。
文脈の流れが素晴らしいわけではないけど、つまり私の好みとはちょっと違うのだけれど、ぐいぐいと惹かれて一気に読んでしまいました。

栗駒山系は色々と思い出深いし、じっくりと山の様子なども思い浮かべながら読めました。

しばらく余韻に浸ろう。

| 2005-10-26 15:44 | 読書系セレクション |


相剋の森 熊谷達也

熊谷達也著「邂逅の森」と「相剋の森」を読みました。セットで読むのがいいですね。

 前者は、東北地方でマタギとして生きた青年の人生を描きます。自然と共に、熊と共に生きてゆくひとりの青年の物語です。直木賞。

 後者は、ツキノワグマの棲む森の自然と共に生きている人間たち、そして主人公の女性ライターが、自然とはいったい何なのか、保護をするとは、共生とは何かを考え続けます。ちょっとイデオロギーな話あり、ドラマありといった素晴らしい作品です。

 「邂逅の森」は大正時代、「相剋の森」は現代を舞台に、環境問題や自然保護、狩猟という文化と対峙する様々な人々の視点を踏まえ、私たちが直面する環境保護という素材を取り上げた凄みのある小説です。どちらも小説ですが、自然と調和して生きるには大いなる畏敬がそこにあることを暗示している秀作です。

| 2005-07-24 15:41 | 読書系セレクション |


熊谷達也 いつかX橋で

2010年06月04日

出版社とは勝手なもので、これを青春小説と紹介していた。
確かにそうなのかもしれないが。

この物語は、戦争が終わる直前、7月の仙台空襲から始まってその後の2年ほどの間の時代を生きた二人の男と一人の女の物語だ。

今は既に、戦争経験者は殆ど無い時代だ。豊かな時代に生まれて、何を今更、そんな文学にさえも興味を示さねばならぬか。そんな潜在的な人があふれる中、熊谷達也は、どんな気持ちでこの作品を書き出したのだろうか。

森シリーズのイメージが強い作家だけに、読者としてはハズレは読みたくないという思いもあるもの、熊谷氏が彼の独自の作法で綴ってくれる、幾分荒っぽい筆と、吟味された優しい筆がミックスした物語を読みたくなるのです。ときどき。

あの独特の優しい視線で、魅力的にまとめてくれる女性が登場し、愚直に生きようとする男がいて、その者たちをひきたてる荒っぽい男がいる。(そう、女性が途轍もなく可愛らしく綺麗で魅力的なのだ、いつもながら。)

熊谷氏の生き方のどこかに潜んでいる彼の哲学のようなものと、小説への情熱をブレンドするとこんな物語が出来上がるのだろう。

物語の流れも終結も残酷である。誰もが望むハッピーなど無い。しかし、そうでなければこの時代は成り立たないのだという、当然の摂理を捻じ曲げることなく、読後にこれほどまでの満足感を与えてくれたのだから、私はとても満足している。

ただ、読後(直後)が深夜だっただけに、眠れなくなってしまって困った。眠れない夜などもう30年も昔から1度も無かったのに。でも、許せる感動だったかな。

---

阿川弘之のレビューを少し前に書いたばかりで、彼の作品は紛れもない戦中文学だ。そのイメージと少し似かよった始まりなのだが、本質的にはまったく違う。宮本輝も松坂熊吾の生きた戦中を書くが、これともまた違う。

人間模様は、重松清を連想させるところもあるが、そんなに滑らかで美しいものでもない。やはり、熊谷達也の作風だと思う。

ドラマを上手に作るTV局で、4回連続くらいの真剣なドラマにしてくれたら、見てみたいような気がする。

熊谷達也の頭の中には、そんなお洒落なところもあるような気がする。

| 2010-06-04 11:47 | 読書系セレクション |

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