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2010年10月10日 (日曜日)

椎名 麟三 のこと


永遠なる序章 (新潮文庫)  椎名麟三

永遠なる序章 (新潮文庫)
* 椎名 麟三
* 新潮社

昭和30年に発刊された文庫を手に取っている。買ったものは昭和50年の27版で、間違いなく御茶ノ水駅から坂を下ったところの古本屋さんで、100円で買っている。私の家の古本の100という筆跡はここのオヤジさんのものに間違いない。

大学にも行かずに食堂で飯を食い、古本屋に寄って4、5冊の本を買い、坂道をあがって来たときにたくさんの友人たちに出会うが、そこに一番の友人であるJが居たら、そのまま聖橋ほうまで昔からの約束事のように歩いて行き、欄干に肘をかけて凭れて、奴と話す。

キリスト教の話しのこともあれば人生論であったりする。赤色に白線の地下鉄丸の内線が通ってゆくのが見える。神田川を運搬船が行くのも見える。

椎名麟三が、永遠なる序章の書き出しで、医科歯科大学から聖橋に来る様子を書いている。
御茶ノ水からシーンで始まらなければ読み始めなかったかも知れないが、自分がこのあたりで学生時代を送っていた幸運もあって、椎名麟三を何冊も読むことになり、虚無主義の満ちたわけのわかったかわからないような物語に、私は二十歳のころにどっぷりと浸かっていった。

高校時代に、受験体制に遅れをとっている高校のカリキュラムに反発したり生きることの疑問を爆発させながら思い切り反抗期を送った私にニーチェの哲学書を薦めた教師が居たほどだから、受験を終えた私にとって勢いがつけば読みやすかったのだろう。自分の書く日記にも、彼の小説の筆の色合いを真似してしまうほどに影響を受けるまでじっくりと読んだ。

「永遠なる序章」が彼の一連の作品では読みよいかもしれない。30年以上も前に読んだ本だから内容は覚えていないけど、無作為にページを開けて読んでみると結構覚えているから不思議だ。

小説の捉え方や人生哲学などにも、(今の自分にはわからないが)相当に影響を与えたことは否めない。二十歳のころにこんな本を読んでおいて、大正解だったと思う。
| 2009-03-21 10:11 | 読書系セレクション |


椎名麟三、のこと。続き

永遠なる序章から

椎名麟三、のこと。続く。


ほんと、赤茶けた30年前の文庫を電車の中で読んでいます。
(細雪は、放置してしまって、ゴメンなさい)


例えば、日常の連続テレビ小説風に細雪が進んでゆくならば 椎名麟三は、深夜につけたラジオから流れ始めた朗読の時間で読むに相応しいような作品で、

福永武彦を読んで、どんよりとしながらも、感動が満ちてくるのを味わったときのように、一行ずつを噛み締めながら読めます。

戦後を、文学にした人の功績は大きいなあ、とつくづく感じます。

本屋に山積されたベストセラーを嫌う人たちの、結局のところの自分だけの読書観というものにも、あきれるというかその狭量に無言になるのですが、そういう人たちにこそ、福永武彦や椎名麟三をオススメしてみたい。

直木三十五の「南国太平記」のように、場面が手に取る様に展開してゆくのとは正反対に、暗くて貧しい戦後の街の様子を(私も実物は見たことがありませんが)、これでもかと小説が泥を捏ねるように展開してゆく中で人の心の奥に迫る小説あったわけで、この頃の本屋ではもう見ることができない。

だから、椎名麟三、恐るべし。なんです。

| 2009-04-04 11:20 | 読書系セレクション |

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