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2010年10月 4日 (月曜日)

三浦しをん セレクト


三浦しをん著 まほろ駅前多田便利軒


まほろ駅前多田便利軒(三浦しをん)

この作品を読みながら私は3箇所のページ番号に丸をつけた。そのうち2箇所は偶然にも解説に取りあげている箇所に一致している。

私にそれほど眼力あるわけではないと思うので、もしかしたら三浦さんの作品には、丸をつけるような箇所が少ないともいえるか。

あっさりした小説と思わせるのは、そういうところかもしれない。

面白く軽快で、楽しくて明るい。
若者向けの小説かもしれないが、丸をつけたところなどは、一概にそうともいえない。

だが、三浦さんはそんなに人生の薀蓄を語れる年齢でもないのだから、ちょっと不思議。

いつものことながら…って、
まだ、「風が強く…」、と、「神去なあなあ・・・」くらいしか読んでないけど
人物設定には工夫していますね。

でも導入部は面白くない。これは作家の特長かな。

アニメのような作文は、とても直木賞とは思えないけど、ストーリーと人物の醸し出す哲学的暗示は、ちょっとだけ、頑張ってるなーって感じ。

ゴメン。星はとりあえず三つにさせてくれ。だって、同じ直木賞の熊谷達也や車谷長吉と較べてしまうと、仕方がないのだ。

丸をつけたところを、紹介しておきます。
---
◇(P105)
「だれかに必要と必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」
◇(P163)
生きていればやり直せるって言いたいの?」
由良は馬鹿にしたように笑みを浮かべてみせた。
「いや。やり直せることなんかほとんどない」
◇(P196)
「愛情というのは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを、相手からもらうこというのだと」
---

いや。
ほんと。
やり直せることなどほとんどない。

でも
だから、
こうして
生きているのだ。
そういう点からみれば、30代の人が書いた言葉とは思えないところもある。
| 2009-08-28 09:44 | 読書系セレクション |


三浦しをん 風が強く吹いている


昨日の夜に読み終わって
寝不足になってしまったのです。

私は、あまりこういう作品は読まないのに、机には「まほろ駅前多田便利軒」の文庫が有る。

先に娘が読んでしまったらしい。

「神去村なあなあ日常」も読もうと思っている。
風が強く吹いている

でも
こんな漫画チックな物語は好きじゃない。

そのくせ読み返して、ウルウルしている。

秋に映画になるそうで
きっと映画は素晴らしいでしょう。

青春バンザイ。

風が強く吹いている
三浦 しをん
新潮社
\1,890
---

ひとりの男のポリシーとひとりの男の刺激的誘発と、それぞれの個性がオンボロの下宿に集って、箱根駅伝に出場できるレベルになってゆく。一本の襷で10人の個性がつながってゆくその1年間を書いた青春の真っ只中を駆け抜ける物語だった。オマケに……ゴールでこのチームが、2秒差でシード校なってしまうという劇的で、ホロリとくるお土産までついていた。

全速力で駆け抜けたあとには静けさがあった。そう言いたい。

作者には「神去村なあなあ日常」で出会う。我が町の上流にある小さな村を舞台にした「神去村」を読み、村まで行って村人の話を聞いてきた。そのあと直木賞作品を机に積み「風が強く吹いている」に手が伸びた。

駅伝の話だとは全然想像しなかった。

冒頭にオンボロ下宿が登場し、それが私の学生時代の西武沿線の「賄付き2万5千円、風呂無で共同トイレ、部屋の扉は戸板スライド式、鍵なし、裸電球、四畳半…」という状況に非常に良く似ていた。

あの下宿にはスポーツマンは居なかったが、都の西北の法学部、商学部、文学部の連中で構成され、理系の私は異色人間だった。30年のタイムスリップをしながら引き込まれた。

「こんな作品を書く作家なんか絶対の好みとちゃうなー」とぶつぶつ言いながら次第にマジで読み始める。

人生は理屈ではなく馬鹿げたことに似たような始末の連続であり、似たようなことを作者は投げかけてない?と思うと真剣味が増してくる。

強くあれ、速く颯爽と駆け抜けろ、美しく羨まれるように綺麗になれ。そんな夢がある。しかしそれらが、なかなか言葉にならずに苦労している。私たちの夢を、何かで叶えたい。
それがこの物語ではないかな。ちょっとした哲学も散りばめてある。メルヘンだけど、バカにできないモノが有る。

それは、素直で実直で潔いもの。1回目に急いで読んだときは平気だったのに読み返すたびに目頭が熱くなる。
| 2009-07-30 10:13 | 読書系セレクション |

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