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2010年10月 9日 (土曜日)

新田次郎 セレクション


新田次郎著 アラスカ物語

書きとめておきたい本は、山のようにあるのですが、なかなか整理がつかない。

近ごろ、それって自分の人生の整理もつかないってことなのでは、と思ってみたりします。

何を書いても遺書のようになってしまうなあ、と泣き言ばかりを言っていますが、死んだらこの本はみんな灰になるだろう。

私の遺言だけ新刊で出版できればいいか。

+++

新田次郎著 アラスカ物語

もう何年も昔のことで、私が受験生だった昭和50年ころまで遡るような気がする。当時は本を読むことに馴染みなどなかった。ひとりの高校生が単行本を持ち歩いたりカバンに文庫を忍ばせている風景は珍しかった。そういう奴は本の虫かガリ勉か、遊ぶことを知らないひ弱な奴の分類に入れられかねない、そういう時代だった。

なぜアラスカ物語だったのか、それは朧な記憶になるのだが、きっと誰かが単行本を贈り物としてくれたのではないか。そんな気がする。私を読書家と勘違いした親友がその1年前に遠藤周作の「どっこいショ」の単行本をプレゼントしてくれたということもあったし、「アラスカ物語」も何かの理由があってプレゼントされたか、それらの本に感化されて私自らが買ったのかもしれない。何れにしろ、私の読書人生のスタートラインのころの1冊であることは間違いない。

さらに、この本を読了して、受験期間を終了したころに、新田次郎作品では「火の島」を読み、さらに「栄光の岸壁」「槍ヶ岳開山」に出会い、私も山を旅する人へとなってゆく。出会いとはそれ程、偶然で簡単なものでもあろうし、また、それほど恐ろしく感動的でもある。

この作品の主人公であるフランク安田という人は、教科書ではおそらく習わない。だが、人物伝というものが人を育てるというならば、このような人の信念や考え、行ないを今の子どもたちにさり気なく教えてあげればいい。人の生涯描いた物語は新たな時代の人へと受け継がれ、また人を育てるのだろう。

新田次郎という人は、このような人の生きる美しさにこだわりを持っていたのではないか、と思う。それは山に懸けた登山家や冒険家の人生にも存在する。カッコよくないとか非合理的であるという理由で、現代人が御座なりにしている最たるものなのではないか。

新田次郎の小説と向き合う姿勢は、小説家への動機やその後の歩みを見てもよく分かる。彼をこれから読むという人は、まず、「火の島」を読み次に「アラスカ物語」へと進むと良い。彼の真正面からの顔が見えてくるのを感じるだろう。

| 2010-07-02 20:27 | 読書系セレクション |


新田次郎 孤高の人

新田次郎を掘り出してます。

昔に簡単に書いておきながら、再び思い出して書いたので、下巻に今日書いたモノをアップしておきます。

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孤高の人 (上巻) (新潮文庫)
新田 次郎
新潮社
\620


「コタツで読書」シリーズで書いたものです。

2005年12月12日のメモから。

孤高の人
新潮文庫
新田次郎著

新田次郎入門としてはちょいと重いかも知れません。
「栄光の岸壁」くらいか「火の島」あたりがいいかな。
でも、冬に読むなら、コレでしょう。
冬山に行きたくなる。
間違いなし。

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コミュで書いた紹介文を貼っておきます。

■ 新田次郎著 孤高の人

これは新田氏の作品でもっとも評価が高いのではないだろうかね。
比較的初期のころに書かれた作品だと思います。
(調べずに書いてスミマセン)


単独行の加藤文太郎という人を取り上げた作品でして、いわゆる、山岳小説の魁でもあり、加藤文太郎を有名にした作品でもあります。

彼の勇敢で生き生きとした姿を新田次郎の不器用なペンが感動的につづっています。

ちょいと長いのですが、真剣に読もうというならこれからです。

---
---

孤高の人 (下巻) (新潮文庫)
新田 次郎
新潮社
\620


上巻でレビューを書いたのを忘れてた。また書いたので折角だから載せておきます。

単独行の加藤文太郎。

この名を知らぬ人は、登山を知らない人かもしれない。
いま、いわゆる今どきの登山人(登山家とは呼びたくない)は知らないかもしれない。

自分たちの現在に歴史は不要だという考えが多くなっていることも想像できるし、登山そのモノが、アウトドアなレジャーに毛が生えた程度に考えているかもしれないし。
そのこと自体は大いに結構ですけど、登山というモノをする以上は、促成栽培の技術や大量資金を簡単につぎ込んで一夜でキャリアのあるかのような出で立ちになって欲しくない。

新田次郎には、間違いなく、加藤を知って欲しいという強い願望があったに違いない。山を愛する人であれば、簡単にその心は理解できよう。

兵庫県の人。
努力の人。
単独で、努力を積み重ね、勉強も登山も、自分の力で解決する。

教科書に載せたいような人物です。
六甲で緻密に訓練を重ね、北アルプスへ。

その名は、単独行の加藤と知られるようになる。

一度だけ、パーティーを組んだことがある。結婚してまもなくのことだったと小説では確か書いていた。そこで、小説が終わらねばならない結末を迎えるというところが、何とも現実でも小説であっても無念である。

加藤の努力と不屈の精神とパワーを感じ取りたい。

| 2009-07-09 15:39 | 読書系セレクション |


新田次郎 槍ヶ岳開山

新田次郎の作品を思い出していたら
学生時代の下宿で、彼の作品を片っ端から読んだ日々が甦る。

山へのいざない。
ちっぽけな恋より美しいなあ。
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槍ケ岳開山 (文春文庫)
新田 次郎
文芸春秋

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播隆というお坊さんがいた。越中の出身の人だった。

お坊さんが槍ヶ岳への道を初めて開くのである。

槍の姿を、せめて隣の峰か峰の麓からでもいいので、見上げたことのある人なら、あの山の魅力をわかることができるだろう。

その槍を舞台にしている。

山は信仰のもので、神が宿る気高いところだ。
まして北アルプスの山々は自然のなかにあるその勇姿といい、天に突き出る荘厳さといい、この大山塊は霊の峰峰だったに違いない。

まだ、誰も登らぬ霊峰へ。
播隆上人が笠ヶ岳登山を成功させ、初めて登山道というものを開いたのだ。

この時代(1820年代)登るだけでも多大な苦労が伴うのだが、登山道を開き、信仰の道としても完成させてゆく人物の物語。

目の前に槍ヶ岳がある。

誰もをこの素晴らしい神の宿る山へといざないたいと願った播隆上人は、槍ヶ岳への難所に鎖場を設けるなど、登山道を切り開くのだ。

本屋でこの本を発見したときに、あの「槍ヶ岳に登る本」なのか、と単純に飛びついて買ったのであったが、中味はどっしりと重い人物伝であった。

新田次郎が書くから、さらにマジメで、面白い。
| 2009-07-09 14:45 | 読書系セレクション |


新田次郎 栄光の岸壁

剱岳という映画が話題だそうで
何故に今頃、新田次郎さんなん?と不思議です。

アラスカ物語、という作品を木村大作のカメラで撮ったときは話題になったけど、あの木村大作さんが注目されてるのかな。


八甲田山死の彷徨、のときもメディアは騒いだなー。


新田次郎は、あの無骨な作文と、緻密な進行、正確な情報などが味わいなのだ。

剣岳。
見ないで、読んでくれ。

栄光の岩壁 (新潮文庫)
新田 次郎
新潮社

気象の勉強をしたかった私は結局(新田さんの真似をして)電気通信工学科に進むものの、「火の島」を読んだりして気象学への憧れを断ち切れない日々を送っていたのですが、その火の島で出会った新田次郎という人の二冊目がこの「栄光の岸壁」でした。

後に、殆んどを読みつくしてしまうのですが、その引き金になるには素晴らしい作品です。

新田次郎の文章は飾りも無ければ、叙情豊かに書かれているわけでもない。山登りにかける男の心の闘いを、唐突と書き続ける。そこには正確で計算されつくした構想があるのでしょう。

もちろん実在の人物を取り上げて作品に仕上げているのですからリアルではありますが、新田次郎さんの気迫が大きく覆いかぶさる。

冬の山を知り尽くし、怖さも素晴らしさも体感している新田次郎さんだから書けたのではないでしょうか。プラス彼の真面目さもあったでしょうか。

北岳バットレス、アイガー北壁、マッターホルン。
当時私は聞いたことのないところでした。
登山の用語もまったくわかりませんでした。

しかし、大学生だった私は、このときほど山に登りたいと強烈に思った時代は無かった。読むほどに身体中が奮えだし、山に行きたいと思う。

強く生きることのバイブルのような作品です。
まだお読みでなければぜひ、作品からいかがでしょうか。

(もう30年以上も前に読んだのに、あのころ奮えたったのを思い出します)

| 2009-07-08 15:54 | 読書系セレクション |


新田次郎 火の島

火の島
新田 次郎
新潮社

新田次郎の作品の感想を1冊も書いていなかったので、30年前を思い出しながら書きます。

火の島は、気象観測の業務で鳥島に駐在する新田次郎氏の緊迫した時間を物語にしています。
昭和40年ころ、まだ、首都高速や東海道新幹線が開通して間もないころです。日本は今の姿から想像することは難しいほど、まだまだこれからの時代。いわゆる発展途上中。そういう時代背景をしっかりと把握して読まねばならない。

新田次郎さんの小説は、ワクワクさせられたりドキドキさえられたりしながら、ドキュメントタッチで読めるもの、伝記のばあいでも、クールに書かれているので、文学っぽくない。
しかし、彼は、新田次郎という小説家として、大いに名を残したから、人間味のまじめさというか、実直さというようなモノを感じる。

私は、気象庁のような所で、自然現象を相手にするような仕事がしたくて、「火の島」を手にしたんだろうな。
読んで「通信」の世界のことを知って、新田さんがそういう分野出身だったこともあって、「電気通信工学科」に行けば気象ができるかも・・・と如何にも二十歳前の青二才が考えるような判断をして、電気通信を専攻していました。
その後、諦めきれずに、在学中に気象大学校の願書を気象庁まで直接出しにいったりした経験もあるのです。

新田次郎さんの火の島は私にとってはそういう記念的な作品だということで、第1冊目の感想は火の島です。

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藤原正彦氏は、新田次郎さんの息子というのは、ちょっと驚きです。というのは、新田次郎さんって、藤原先生の親の年齢だったか・・・ということです。

この作品は、そんな年代の新田次郎がかい書いた初期の作品です。

のちに山岳小説という大きなジャンルとブームを作り上げた功績は、やはり称えねばならない。

藤原先生の「国家の品格」(新潮新書)は、世の中の新書ブームに追い討ちをかけ、新書というジャンルをことごとく粉砕してしまって、いわゆる構造改革的に破壊して、新書から魅力を奪ったわけで、その責任は重い。これは出版社にいえるのかな。

いまや、新書は、新書というか、雑誌ブックレットですね。

藤原先生は別に悪くないが、社会がちやほやしたのか、当たり前を称えたのが悪いのか、ベストセラーになるべき物とならざるべき物が、世の中の一部の勢いで扇動されてしまうという例をつくった。

いまや社会の常識にもなりつつある新書のブックレットレベルへの転落という悲しい変化を、どうしてくれるのですか。


新田次郎さんから脱線してゴメンなさい。
山岳小説。
少しずつ、書いていきたいと思います。
| 2009-04-11 11:28 | 読書系セレクション |

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