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2010年10月20日 (水曜日)

死の棘、出発は遂に訪れず 島尾敏雄


死の棘 島尾敏雄著(その一)


 浅蜊汁すすりて夫の無言なる 凪子

このあと「あははー昨夜の我が家の風景です」と凪子さんが書いてらっしゃいます。
普通の家族の春の風景なのでしょう。

---

「出発は遂に訪れず」を書いた島尾敏雄という人は、膨大な作品を残したわけではなく、数こそ少なくとも文庫となって出版されているものはどれを取っても意味深く、文章というものの重さを切々と感じさせてくれる。

「死の棘」も然り。
凪子さんの一句を読みながら家族の普通の姿を思い浮かべたときに、島尾敏雄の経験した「死の棘」のような人生を思い浮かべた。
こういうブンガク(文学)を映画にすることを試みた映像芸術家の心意気や感動は称えることができるものの、人の心を映像にすることは相当に困難だったのではないか。

映画の評価がいかがだったのかを、申し訳ないが、私は知りません。
死の棘のあの忍び寄るような閉塞感を、筆者が文学作品として記録しておきたかったのだと考えるならば、やはり活字をひとつずつ読みたい。文学とはこういうものなんだと迫るモノがある。

奄美大島の加計呂麻島呑之浦の特攻基地跡に彼の文学碑が建立されたことを報じる新聞記事(1988年12月)を切り抜いてその言葉を私はメモした。

病める葦も折らず けぶる燈心も消さない   島尾敏雄

| 2005-04-07 12:11 | 読書系セレクション |


島尾敏雄 死の棘 (その二)


静かに本棚を眺めていると
学生時代に買って読んだ本が
静かに過去を語りかける。

1000冊以上は読んだなあ。
半分ほどは処分をしてしまったが
残念なこととをしたなと思う。

こうして表紙を眺めているだけで
この本を読んでいたころに立ち寄ったスーパーで
買ったものとかは鮮明の甦るのだ。

しかし、不思議にも記憶には季節感がない。

なるほど、この作品らしいかも知れない。

「棘」なんだけど
ほんとうの「棘」の意味まで
わかる人がこの世の中にどれだけいるのだろうか。

| 2010-01-17 11:19 | 読書系セレクション |


出発は遂に訪れず 島尾敏雄 その2


出発は遂に訪れず 改版 (新潮文庫 し 11-1)
島尾 敏雄
新潮社
\620

部屋の窓から見える景色がこの原稿を書いている間にも少しずつ変わってゆく。冬枯れてグレースケールになってしまった家並みがさっきまでそこで何の主張もしないでひっそりと在ったのだが、寒波の襲来で空模様が遂に雪に変わってしまうと、あれよあれよと言う間に積もって、屋根が真っ白になってモノトーンの景色になってゆく。誰に打ち明ける訳でもないが、そわそわと雪の積もる様子が私も気にかかる。亜温帯性の山茶花にも容赦なくぼたん雪は降り続いている。

部屋の明かりをつけて本棚を眺めたら太宰治の『グッド・バイ』(角川文庫、1998年)が真っ先に目に付いた。津軽は今ごろきっと大雪だろう。津軽を旅しても太宰の記念館には立ち寄らなかった私だが、もしも奄美大島を旅したならばきっと島尾敏雄の足跡は訪ねるだろうな。そんなことをぼんやりと考えながらその隣に並んでいた『出発は遂に訪れず』を手に取った。太宰は嫌いではないが好んでは読まない。美学を感じるけど痺れてこない。

島尾敏雄の作品を読むのは髄分と久しぶりだ。『出発は遂に訪れず』という作品よりも『死の棘』(新潮文庫、1981年)の方が先に発表されていたんだということを、原稿を書き始めた今ごろになって初めて知った。彼が亡くなったのは……と調べるとこれが1986(昭和61)年だったので、そんなに月日が流れたのかと驚いた。速いものだ。新聞で訃報を読んだのが先ごろだと思っていた。そういえば奄美大島に詩碑が建ったという切り抜きがどこかにあったはずだ。

そうこう考えていると、戦後文学というものは、つい先ごろまでは進化しつつあった文学であったが、21世紀になってしまって明治文学などと同じように歴史上のものになってしまった……ということを改めて思い知らされる。では、現在の潮流にのった浅田次郎などは何文学と呼ぶのだろうか。戦後文学の刺激を受けて小説家になった人たちよ、もっと頑張れ。

| 2008-07-09 13:51 | 読書系セレクション |

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読書部Ⅱ@mixiに久々に島尾敏雄を、と思いまして。 -- この歳になると、というのは変な言い方ですが、まあそうでない方々もありましょうけれども、喧しくて落ち着きのないものは付いて行けなくて、自己サイクルタイムのゆっくりとしたものが心地よいです。 小説にしても、流行ものもキライではないのですがじっくりと読むもののほうがいいですね。 老眼も手伝って、すばやくとんとんと読めないので昔の作品を棚から出してパラパラと見ていると懐かしくなります。 あのころは、好きな人など1人も居なくて古本屋ばっかし通っていた... [続きを読む]

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