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2010年7月 3日 (土曜日)

出逢いの風景(2) 【カットバック】  [第28話]

2006年 03月 16日

〔誕生日編〕  フィクション

「雨の銀座」という歌があれば「雨に唄えば」などという歌もある。雨を想い恋を語ってみたり失恋を懐かしんでみたりできるのも、この冷たい秋雨のなせることかも知れない。いやはや雨に敏感に生きてきていることの証なのだろうな、と思いながら池袋駅で丸の内線に乗り換えるのを急いだ。地下鉄の窓ガラスには雨は当たらないのが普通だけれど、丸の内線は後楽園を通るあたりで地上に出るから池袋に入ってくる車両は濡れている。鼻歌が自然に出てくる。「辛子色のシャツ追いかけて飛び乗った電車の・・・」と口づさみながら後楽園の脇を通り過ぎる車のライトを見ている。その残光が眼に焼き付いて離れない。

銀座の駅に電車が入るとどっと人が降り、また人が乗ってくる。有楽町のソニービルに向かって歩いて行くけれど、傘や肩がぶつかって歩きにくい。約束の時間はもうすぐなのにわざと急がないで歩いてあいつを困らせようかなどと考えているのは、自分が小悪魔ではなくあいつが浮気な奴だからなんだと言い訳をぶつぶついいながら、きょうは誰とのデートの後なのと聞いてやろうかとも思っている。

小降りの雨。「もうコートなしでは寒いかな」という台詞を思いついてみては小さな声で言ってみる。ネオンが明るい。その残光が眼に焼き付いて離れない。山の手線が通るのが遠くに見える。ひとりで部屋で手紙を書くときは寂しいけれど孤独じゃあない、なんていうラブレターを書いてみたいな。都会の中に一人でいるととめどなく孤独を感じるが今は寂しさは感じないと言ってみたいな。あいつは待っているかな。

ソニービルの前のにぎやかな一角を避けてビル裏にはいると、ステンドグラスのきれいな小さなコーヒー屋さんがあった。あいつはそこで待っているはずだ。きょうは24歳の誕生日。カランコロンと鈴が鳴るドアを開けて店にはいると一人の女性がこっちを見て笑っている。「キリマンジャロください」と言って座った私は片思いのこの女性をじっと見つめることしかできない。

「もし雨があがっていたらいいところに行きましょうね」、そう言って笑うえくぼが私をまた恋の虜(とりこ)にして行ってしまう。ステンドグラス越しに街を歩く人は傘をさしていないのがわかる。ネオンが光る。その残光が眼に焼き付いて離れない。

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