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2009年5月11日 (月曜日)

95年:紀宝~本宮~龍神~潮岬<紀伊半島>

【ルート】

自宅~熊野~湯の口温泉付近~川湯・わたらせ温泉~(中辺路)~小広峠~水上栃谷トンネル(マップでは林道)~龍神~虎が峰~潮岬~自宅

【走行距離】約550Km(参考程度)

【時間】7:10~18:00

<出発まで>

百武彗星を見ようというお題目で伊豆行きを決断したのは三月の初旬の事でした。まだ寒いかな、お天気は…なんていう心配をしながら少しづつ温かくなる陽気を楽しんでおりました。いよいよ三月末のその日がやってきました。がはは。雨の予報が出ている…ってなわけで簡単に予定変更をして家でごろごろとして過ごしたのでした。3.31は日曜日。春休みになってもお父さんから何のサービスも受けていない事を暗に子供やお母さんはちらりと口に出します。でも私は紀伊半島のほぼ真ん中にある中辺路(熊野街道)と龍神温泉と紀伊・田辺を結ぶ「虎が峰峠」を夢に描いているのでした。朝寝坊をしている二人の横を抜けてそっと支度をして出て行こうと思っていたのに、「お母さん、靴下どこにあるん?」って急ぐ心でつい尋ねてしまいました。ごめんね、母さん。娘は、春休みの特権で夜更かしと朝寝坊の最中なので寝顔に挨拶するだけで出かけました。

<朝~>

最高のお天気になりそうな気配です。空の青さが違うし、木枯らしが吹いてた時のものとは雲の白さも変わってきている。夕べ遅くまで降っていたのか、日陰の小道はまだ濡れていた。下着の上に薄手のシャツ、皮のつなぎ、冬用の赤いスポーツジャケット(山に行くのに買ったのにツーリングにしか使わず)という感じで重ね着をした。首筋あたりを切る風は少し冷たいがバンダナ程度で済ませる。10年以上も使って中身のないクシタニの手袋でも寒くない。夏用の手袋でも大丈夫かも知れない。子供のようにウキウキしている。荷坂峠の下りで海が見えたくらいで大喜びしてる。ONEO'CLOCKJUMPが自然と鼻歌に出てくる。今年の演奏曲だったしなあ。

目的は虎が峰に行く事だ。初めて紀伊半島をぐるりと回った時、最も感動した峠だ。その後に越えた引牛峠は過酷すぎて苦難ばかりが残っているが、どちらも行きたい…。でも虎が峰に寄る前に中辺路を走りたいし、そこから龍神に抜ける峠も見てみたい。実は、途中で何度も迷ったが三つの峠をひと筆書きで回って日帰りを知るのはもうちょっとの努力だが苦しい。できれば温泉にも入ってゆっくりして来るようなツーリングにしたいのだが、「何がそうさせたの?」(途中で逢ったVT250の女性)と聞かれて、「ムズムズしたから」としか答えようがなかった。

そんな事を考えながら矢の川峠も快適に越えて熊野市街に入った。桜がちらほら咲いている。木によってはほとんど満開に近いのもある。淡いピンクは春のおぼろな空気にとても良く似合う。花びら、二題ほど。

花びらを吹いて散らせて背を向けて  ねこ作

花びらが風に舞うよに地に落ちて  ねこ作

<風伝峠~>

先日、開通した記事を新聞で見てもう一度行きたいなあと思っていたので、紀宝町を経由して川湯温泉のそばを通りわたらせ温泉を見おろしながら中辺路に向かうルートにした。紀宝町で熊野川を横切るでっかい橋から河原を見降ろせばライダーがひとり佇んでいた。何を思っているのだろうか。その横を観光船が満載状態で過ぎて行った。まあ、そんな景色を高見の見物した後、思いっ切り狭い国道をトロトロと走り始めた。杉の花粉が雨で流されてアスファルトに黄色い斑点を作っている。森は新芽を出して花粉を飛ばしている。酸素を欲張って思いっ切り吸おうとしたら、苦い匂いがする。シダ類が放つ菌の匂いなんだろうか?暖地性のシダが路肩の草木たちの中に目立つようになったのがわかる。バイクを止めたら鴬が声を枯らさんとばかりに鳴いている。エンジンは、やはり文明の生んだ罪悪なようだ。

<川湯温泉~>

川湯のキャンプ場は思ったより人出は少ないが、駐車場には朝のおやつの時間だというのに車は溢れていた。仙人風呂は既になく、先日からの降雨で増水した川は水かさを増して悠々と流れている。秋のシーズンほどでもないがまずまずの人出の様子である。

<中辺路~>

工事中の箇所が多い。発破の予告の看板が目立つ。さらに気をつけてみると今走っている道路の何割かは新しく造成された道路で近年の工事の印も残る。つまり、数年で三級国道が二級国道並にまで走り易くなるという事だ。工事は急ピッチで進んでいる。悲しいような気がし、田辺から本宮を目指した昔の修行者たちが通った熊野街道を自然のままにという気も起こるが、古人が通った道だからこそ国道は整備を必要とし、史跡として古道を残そうというのかも知れない。熊野古道が消えないように尽くすのは理解できるが自己満足にならねばいいが。

<水上栃谷林道(トンネル)>

水上栃谷林道(トンネル)を越える為に国道から反れる直前に感動的なものに出会った。それは木蓮の花である。沿道の川の対岸の、山の分校ほどの広さの所に養鶏場の跡があり木蓮が咲き誇っている。走りながら目についてバイクを道のド真ん中で止めて道端の女性(おばさん)に訪ねた。「木蓮です」と教えてくれた。桜の木ほどの大きさで小屋を覆い隠すように咲いた木蓮には初めて出会った。ほんと、感動的!*)中辺路を走った時に「小広峠」を越えた。これはその印象などを峠越えにそのうち「虎が峰峠」とあわせて書いていきたいと思います。

<虎が峰~>

龍神村に越えたら胸がときめいた。もう十年以上前、紀州を初めて回って越えたのがこの「虎が峰」と「引牛越」である。虎が峰は開発途中の林道で各所にダートの残った林道だった。何よりも強い印象は、綺麗に植林された杉の林と、峰の向こうにどこまでも続く峰の重なりであった。まだ各地の峠をそれほど多くも走ったことのない目で見た強烈な印象にまた一度会いたいと思うその気持ちだけであった。正直言って、幻滅の不安もあり少しの躊躇もあった。しかし、紀州の山は裏切らなかった。県道として広い道路にかなりの部分が拡張され、走り屋さんの好きそうな所も幾分はある。旧道の無惨な姿も残っている。近くを見るのはやめようと思って遠くの山を見た。高野山方面、熊野本宮方面、それぞれに何かを語り掛けてくれるものがあるように思う。

<太平洋沿岸>

R42 を走って、綺麗な太平洋の白い波しぶきを眺めながら帰途につく。距離はあと250Km以上は残っている。13:00を少し過ぎていた。白浜温泉にも寄らず、潮岬もスピードダウンだけで通りすぎる。走り始めて休憩らしい休憩は取っていない。水分も食事もなし。まあ、これが私のパターンだし、いいか。

暖かい。桜が満開である。海が綺麗だ。いつもみる伊勢志摩の海にも負けないほど綺麗だと思う。波がやや高い。それがまたしぶきを散らしていて、波打ち際まで行きたくさせてくれる。

新宮を少し北上した所にウミカメの資料を展示した道の駅があったので止まった。隣に奈良ナンバーVT250(赤)の女性が止まっていたので声を掛けた。-- -ただ海が見たかったから北山村を抜けて走ってきたの。潮岬まで。こんなふうに喋って格好がつくのはやはり女性だからか。なかなかドレッシーでインテリジェンスな女の子だった。

走る事だけ…と自分に言い聞かせて走ったツーリングでなければもう少し彼女とゆっくりと話もしただろうに、余裕のないという事はあらゆる事にマイナスなようである。

<あとがき>

ロングツーリングなら諸経費などもあげますが、日帰りなので省略。というより、飲まず喰わずで550Kmでした。雨上がりに走る事が多いこの季節、山肌の清水や滝は元気良く水しぶきをあげて落ちています。ぜひバイクを止めてその静かなささやきに耳を傾けてやって下さい。紀州の山岳道路を走るとたくさんの小さな滝に出会います。あれだけ泥の雨を降らせたのに一夜濁ればもう今日はいつものように透き通った水を供給している。人は今でも、か弱い虫けらのようなものですが時に見栄を張って弱きものに胸を張ります。自然のいとなみを見ていると哲学としてそれが愚かな事であるのを実感できる。桜は山間ではちらほらですが、海岸沿いの暖かいところでは咲き誇っています。虎が峰の麓あたりの奇絶峡は来週当たりが見頃でしょうね。道もいいのでいかがでしょうか>みなさん紀伊半島の海は記憶にある以上に綺麗でした。海がみたくなったので…と言ってバイクを飛ばす方には取って置きの海かも知れません。前にも書きましたが、時間を取ってゆっくり飽きるほど回ってみたい。地図にも辛うじて載っている小さい村道なども走りたい。山に飽きたら海に来てまた山に戻ればいい。みかんの畑が目につきます。もうオレンジ色の実は少ないけど独特の匂いを放ってくれました。小さい草花も春の香りを漂わせます。子どもの頃に、緑の草木をむしり取ってまままごと遊びをした時にあの緑が出した匂い。蓮華のような甘酸っぱい匂い。遅咲き梅、桜、木蓮、雪やなぎ、沙羅双樹、チューリップ、すぐに思い出せるのはその程度(情けない)。

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