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2009年3月11日 (水曜日)

星野道夫さん 〔2003年9月中旬号〕

星野道夫さん 〔2003年9月中旬号〕

 お盆に帰省をしたときのことです。京都・四条烏丸の大丸百貨店で開催される「星野道夫の宇宙」展の広告を地下鉄で発見して私は「おおっ!」と叫んでしまいました。そばに居た娘(高1)が「この人、中3の教科書に載っているよ」と言うので、あくる日に早速二人で出かけました。
 星野さんは「環境」に関して何かのメッセージを発信したわけではないし、無駄な電気は消そうとかゴミを減らそうなどとも、恐らくひとことも言わなかったのではないでしょうか。イデオロギーを掲げて活動したのではなく、ナチュラリストだったんです。それだけに地球の環境を考えている真剣味が伝わります。
 高校時代にアラスカの村を写した1枚の写真と出会い、感動し、一通の手紙だけをきっかけにして極北の地を訪れます。慶応義塾を卒業してアラスカ大学に留学し動物学を学び、そのまま永住します。大自然や野生動物を追いかけ、クマやカリブー、クジラ、オーロラなどの写真を撮って、エッセイを書いています。教科書に掲載された作品は、文春文庫「旅をする木」にあります。感動的な風景や動物たちの生態など、伝えたいたくさんのことを写真とエッセイに綴りながら、アラスカの風景を追いかけて暮らしながら、人間と自然とのかかわりに畏敬の念を抱き、いつまでも感動し続けていた人でした。
 「ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか」という一節がエッセイにありますが、何不自由なく暮らす文明への提言なのかもしれません。
 私たちは何でもすぐに答えを求めたがる傾向があります。地球温暖化について教えてください、と質問を投げかける子供たちがいます。しかし、教育をする人、学習を手助けする人たちは、簡単に答えを教えたり、あらすじを知らせてしまう前に、調べる手立てやその過程での寄り道の手法を教えてあげることが大事です。これが真のゆとりです。そうすることで、例えば星野さんの写真を見て感動できるような、あるいは環境学習推進員の木村さんがミンミンゼミに出会ったとき(木村のページ参照)に「感動」したように、自然の姿やそれらの営みに強烈な刺激を受け心を奪われてゆくような、そんな感性を伝えてゆける。
 環境を学ぶ人には、フィールドワーカーたる気性も必要と思います。こういう書物に刺激されて野外に興味を持つ人がひとりでも増えると嬉しいですね。何か一冊に感動できれば、答えを求める旅の切符を手にしたようなものです。

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