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2009年3月11日 (水曜日)

鮎川先生〔2002年10月上旬号〕

鮎川先生〔2002年10月上旬号〕

秋になるとどことなく物寂しい風が吹く。それはノスタルジックでありセンチメンタルでもある。

私の高校時代の数学の恩師だった鮎川先生は、いかにも数学の先生といった感じであったが、高3だった当時の私には得体の知れない先生だった。

あとから思い起こしてみれば、いかにも大学の教授ふうで、講義に来ても馴染みの話をするわけでもない。黒板に学術的なジョークを交えて授業をして、私のような極悪劣等生を眼中に入れてかどうかが不明のまま、淡々と教壇での一時間を過ごしお帰りになったように思う。

この鮎川先生の偉大さに気づくことになったのはずっと後のことであるが、その予兆はいくつかあった。

まず予備校で出会った名も知れぬ先生と言ったら叱られるか。こちらは無意識だったが「石谷茂」先生だったのであった。かの先生の講義は、必死に人を押しのけようとしてもがいている学生(予備校生)どもを前に、数学の楽しさを説いておられた。受験の数学ではなく、問題を解決してゆく手段としての数学であった。これで受験に通るなら儲けモノというわけだ。

そのあと大学で、否が応でも数学と言うか数理科学の世界に首を突っ込まなくてはならなくなったのだが、情報工学第3研究室の守屋先生や防衛医大の医用電子工学講座の関谷先生のお世話になり、数理学の世界に引き込まれていった。

数理学って何にも面白くないのですが、私にはこの「学理」が肌に合って、視点を据えるのに様々な影響を受けたものだと、今になって思う。。

鮎川先生の数学は、たかが高校生の数学と侮ったものではなく、モノを解析する眼で問題を見つめているのだということに、5年も6年も後になって気がついた。鮎川先生は難関な受験問題もスラスラと説いて生徒に見せてくださった。果たして予習をしていたのだろうか。いずれにしろ、それが東大の問題でも、大きな山を崩すようにひとつひとつを解説をしてくださっている間に問題が崩れていた。そのことが凄いことだったのだとやはり数年後に気が付いたけど、そのときには先生は他界されていた。

先生は、解けない私(クラスメートは33人で、私は32番、ただし1人は休学中)を決して責めたりなさらなかった。問題を解く論理の話をなさった。

何年かあとに京都大学のある先生(森先生だったかも知れません)が、「問題を解ける人が(京大では)合格とすると限らない」、とおっしゃっていたのを記憶する。

学者に必要な資質は、解けない問題を、深い森に例えるなら、森をどこまでも彷徨って目的地にたどり着いた人ではなく、辿り付けなかったけど彷徨っていたその彷徨った過程を生かすことにある。ダメでも構わない、答えに結びつかない答案でも、論理立てて立派に解析できることが大事で、そういう人を合格とする (京大大学院)のだとおっしゃってられた。

私の答案が立派とは思わないが、満点をとれないヤツにも一筋の明かりが届く話であるではないか。

数学とはもしかしたらそういうモノなんだ。人のレベルに応じてそれなりに価値の出るものかもしれない。だとしたら私の数学的思考も、もしかしたら少しは使い物になるのかもしれない。そう思ったとたん、数理科学の書籍がマンガよりも面白く見えてきたのを思い出す。

この時点で鮎川先生の講義にもう1度出席できたら、私の人生は変わっていたかもしれない。そう思った。

あのときに優秀だったクラスの奴らはみんな小中学校や高校の教師になっているのだが、どうもヤツらは理系を逃げてしまって、文系が多いのだ。やはり、出来が悪かった私のようなヤツのほうが、先生の願いに叶っていたのかもしれない。

ちょうどここまで書いて、放置していたら、ノーベル賞の小柴先生のニュースが朝から飛び込んできた。物理学バンザイ!

何と言うか、最も苦手で、センスも悪かった物理学や数学が、いつまでたっても愛着深いことで、鮎川先生に感謝します。クソの役にも立たない学理に情熱を注ぐことに美学を感じませんか?感涙です。

でも、娘は期末試験で数学が落第点。今日は追試だったそうです。この親父にしてこの娘あり。どんなに忙しくても試験が迫っていても、図書館で5冊も6冊も本を借りてきて、中毒のように貪っております。娘よ、父のように苦手な数理学を専攻するなよ、と言いたい・・・ようで、薦めたいようで。。。

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