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2008年11月 6日 (木曜日)

楢峠から水無ダム方面利賀村へ  幻想篇

さて、前置きばかりが長くなってしまった。そろそろ旅の軌跡を振り返らねばならない。

インセンティブを巻き起こしてくれたそのバイク人と、奥飛騨の秋の風情に満ちた感動の峠を走る。まずは、飛騨高山市内の朝市を覗いてみることにした。

3連休の真ん中ということで街は大賑わいだ。朝の9時に参上するなんて遅すぎます。陣屋の前にバイクを止める算段で市内に入るが、朝とは思えない車の数だ。当然陣屋の付近ではミニ渋滞が起こっている。

交差点脇の休憩所前のスペースにバイクを止めて「自由行動にしましょう」と私は言った。何だか恋人でもないのに一緒に歩くのも恥ずかしかったし、どうも、ひとり旅で我儘ばかりしているせいか、上手に案内も出来ないこともあった。ほんとうはいろんなことを聞かせてもらいながら散策したかったのだが…。朝ごはんを食べていないと言っていたから、私に気兼ねなくすいているお腹を満足させてきてくれるといいな、とも思って放り出してしまった。そうすると、すぐに彼女は何処かに散策に行ってしまったみたい。

やっぱし…
川沿いの朝市を北から南までひと通り歩いたり、お昼近くまで待って美味しい高山ラーメンの店を訪ねても良かったかな。正直、朝のテレビ番組などが映し出す橋のたもとや古い街並みなどを案内したかったんだろうな。

しかし、楢峠に行くには、それほどのんびりしている時間が無かった。気持ちは焦った。道路状況がはっきりと分からなかったので、万一通行止めとなっていたときは引き返さねばならない。そのことが頭の隅っこにあった。

今、ここで言っている楢峠は飛騨古川から国道471号、472号線を北上するルートなのだが、私の考えている楢峠は厳密に言うと「楢峠+県道34号線(利賀村方面)」をさしている。

天生峠は飛騨古川から白川郷へと東西の峠で、楢峠は天生峠の手前から北上する。さらにその峠の途中から牛首峠方面、水無ダム方面へと西に分岐するのが県道34号だ。

中央にコケが生えている道路は、比較的三級地方道(酷道と呼ぶ人もある)には珍しくないが、この利賀村-楢峠ラインは、そういう道路の中でも群を抜くほどに狭くて寂れている。

「果たしてこんな山の中に乙女を連れてきて…犯罪と違うのかい」と独り言を呟くが、私の後ろを走るW650のその人には聞こえていなかっただろう。バックミラーに映る姿は淡々と走り続けるなかなか男性的な雄姿だった。

県道34号は、鉄格子のようなゲートで閉ざされていた。「ああ」とため息をついた。

深い深い山の中で通行止めの看板や落ち葉が道路に溢れている様子をカメラに収めながら、大休止となった。

この先の道路はまたいつか来るとしよう。彼女にとっては幻想の峠道となってしまった。

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