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2007年7月24日 (火曜日)

ほろ苦い

▼夏休みの思い出はこの歳になってなおさらほろ苦いモノになっている。苦味というのはビールのようにひと味付けるのには最適で、ややもすると、癖になる魔力さえ持っていながら、しかし、味そのものを論じれば決して美味いものとはいえないだろう。ほろ苦いモノを指折り数えると、淡いものから濃いものまで、今となってはどうでもいいことから、そうでないものまで、様々なことが次々と浮かぶ。

▼7月末から8月いっぱいまで休暇を取ってバイクで旅に出たことがった。自分では「東北激走4800km」と名付けて、大きな思い出になっている。また或るときは、初恋のような感動だった、と後になって振り返った旅もあった。旅は、あらゆる面でほろ苦い。

▼貧乏な学生時代の夏休みは、日頃から古本屋で買い込んで積読になっている何十冊もの本を片っ端から読んだ。バイトにも行かず、実家の和室に寝転がってゴロゴロとしながら読書をした。中学高校時代まで遡れば、一学期に顔を合わせてキャンキャンと騒いでいたクラスメートの女の子に9月まで会えなくなると思い沈み込む日々を送った。

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▼梅雨の合間に広がった大空を小さな鳥が高く高く飛んで夕焼けのほうへとゆくのを見上げながら、鳥になりたいという夢を持ったことのある自分を思い出して、もしかしたらそれは間違いだったかもしれないと、ふと、考えた。
何故なら、あの鳥はいったい何処を目指して何処まで飛び続けるのか、飛ぶことは苦しいことではないのだろうか、変化のない景色を見下ろし飛び続けることが面白いのだろうか、などと想像してしまったからだ。

▼多かれ少なかれ、私たちは自由というものを与えられ、同時に束縛も受ける。この相反する力学の均衡がヒトの気持ちを向上させてくれることは自明で、自由の中に放たれること夢見て、それは大空を自由に舞う鳥のような姿だと考えて夢を追い闘志を燃やすのだろう。

▼鳥たちが自由に飛ぶのを見ていると、確かに疲れ果てれば地上に降りてくればいいと思う。ところが、よくよく考えると、一旦降りてしまえば餌の在り処も見えなくなり、また飛ばねばならない。果たして鳥たちは飛ばねばならない宿命を背負いながら幸福なのだろうか。

▼昔、無人島哲学論(ねこ著)の中で、「スズメは何故電線から落ちないのか。それは、落ちそうになったら跳べばいいのだから」と書いたことがある。だが、スズメは飛ぶために生まれた鳥ではない。電線に止まるために生まれた鳥なのかもしれない。

▼飛べないブタは只のブタ。紅の豚の中に隠されたオトコのロマンへの夢というのは、我々が何かを実現するために、一方で苦し紛れに握りつぶしてきた人生の犠牲というモノに感じるほろ苦さであった。だからこそ、夢は果てしなく、或るときは儚くある。ロマンとはそういうモノだ。

▼苦味とは何だろうと考えて、空想が拡散してしまったが、要するにこれまでの人生で自由を獲得しようとしてきた自分の行動や思想を、自ら否定しようとしているかなと思う。それは、つまり、NEXTをどうするのかという問題提起であり、その問題解決の手段の中にもあのほろ苦さを混ぜこめるような人生でありたいと考えているのだ。

▼先日、娘が二十歳になった祝いにビールでもと思って薦めると、苦いので飲みたくないと言う。では、私たちがあのビールの苦味をウマイと感じたのはいつのことだったのか。苦いビールを、初めてウマイと感じた瞬間の自分はどんな顔をしてたのだろうか。あのときまで時間を巻き戻せば、飛べるわけもない空を見上げて、再びでっかい夢を持てるようになれるだろうか。

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