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2006年6月12日 (月曜日)

第29話【花も嵐も】 煙が目に沁みる 鍵掛峠<山陰>

「煙が目にしみる」という名曲がある。その内容とはまったく関係ないけど、同じタイトルでバイクの回想記を書いたことがある。

それはGSXという私のバイクがエンジンから煙を吹き出すようになり、2度にわたる分解修理を経て甦るまでの期間のことを書いたものだ。煙にまみれて走ったツーリング日記でもある。人に例えればいわゆる闘病記のようなもので、色々と苦心もあったのでその日記を私は「煙が目に沁みる」と呼んでいる。

1993年の夏休みの鍵掛峠のことだった。バックミラーにうす青い煙がすっと映ったような気がした。まさか、と思いながらも何度かミラーを覗き込むたびにそれが確実になってくる。まっすぐに大山の展望台方向に上ってゆく道路を、何度も何度も行ったり来たりしながら、アクセルを開け気味で走ってみてはミラーに映る煙を確認していた。
オイルゲージを見ても激減ではなかったので緊迫した悲壮感はなかったものの、そこで急遽、私は旅を切り上げて帰ってくることになる。

あとで分解をしてバイクは甦ることになるが、諦めた一時期もあった。あくる年のゴールデンウィークに九州を走ったときには、オイルの1リットル缶を持参し毎日500ccほどのオイルを足しながら走った。そしてその夏の東北でもオイルは燃え続けた。GSXというバイクとお別れするために、九州も四国も東北も信州も、あらゆる所を走れる限り走った。しかし、それが愛着を生み育て、棄てられない原因となってゆくのだった。

「煙が目に沁みる」の連載を書き終えるころ、GSXは私のほんとうの相棒になっていた。永年の念願だった青森県への旅も果たせた。

煙を吐く前に走った距離よりもその3倍以上も走ったころに、私はGSXも晩年であることを悟った。修理のためにボアを1ミリも削ってしまってトルクが落ちていたし、熱伝導特性がアンバランスになってしまったため頻繁にオーバーヒートをした。

悩まされながらも多くの旅と長い距離をともにしてきた。鍵掛峠(山陰地方)へは、煙を吹いて修理を終えてから一度だけ行った。バイクの全快祝いを記念しての旅だった。煙を吹いた登り坂、ゲージを確認した道路脇の広場などが鮮明に思い出に残る。

引退前の最後となる長い旅は秋田県の稲庭へのツーリングだった。

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