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2006年2月 1日 (水曜日)

こうなご

子どもの頃、今の季節になると「こうなご」が食卓に並んだ。春を告げる味覚で近頃は有名になったものだが、昔は庶民の、普通の食べ物だった。

魚は朝、港にあがったモノを行商のオヤジさんが運んできた。いや、オヤジさんと、子どもの頃にはそう思ったが、働き盛りの三十代だったかもしれない。

夕刻になると風呂の薪を家の軒ウラから抱きかかえて風呂焚きをするのが子どもの仕事だ。釜を覗き込んでいるころに自転車のブレーキの音がキーとなって、行商の「ヒゲさん」はいつも現れたのだった。

きっと「今日は鰆の美味しいのがあるよ」とか「かますごがあるよ」などという会話が弾んでいたのだろう。

卵は小屋の鶏が産んでくれた。お乳はヤギから搾った。魚はヒゲさんから買った。肉は…、あのころは肉というモノをそれほど食べなかった。祭事があると小屋の鶏を猟って食べた。年に一二度のことだったと思う。

冷蔵庫がない家庭がまだポツリポツリとあった。しかし、そんな理由で、家庭に冷蔵庫は不要だった。

こうなごを食べたいなと、ふと思った。つい先日のことだ。
帰りの車の中だったか、休み時間だったか、定かではないが、しょうがをすって、醤油をかけて食べるあの味が脳裏を強襲したのだ。寒波が緩んだせいだったのだろうか。

これを食べると春が近いとしみじみと思う。「ああ、こうなごが食べたい」、そう無性に思い、家に帰ったら「明日にでも買っておいてくれ」と言わねば…と復唱していた。

しかし、
帰って食卓に着いたらうちのんがニコニコしながら「きょうイイモノを見つけてん」と言いながら、そいつを出してくれたときには驚いた。

子どもの頃に父がこの魚を美味そうに食っていたのを思い出す。子供心にこんな魚のどこが美味いのか、と不思議だった。母は、美味そうに食う父をどんな眼差しで見ていたのだろうか。

そう思いながら、私はうちのんの視線を見つめ返して、確かめた。

【塵埃秘帖・2月上旬号】

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