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2005年8月 8日 (月曜日)

ひとりでに、消えるように

ひとりでに、消えるように : 串田孫一さん


きょうの朝日の夕刊に串田孫一さんの惜別の記事があった。串田さんは7月8日に89歳で老衰で亡くなられた。

私はこの人のエッセイに大きく刺激を受けた一人だ。いわゆる、上手な字で板書をする先生が居てくれると自ずからノートも綺麗な字になり、乱雑な板書であればノートは乱れ眠気も襲うのと同様に、串田さんは私に作文の歓びを教えてくれたのかもしれない。味わいを持った温かみのある、ときには厳しいエッセイだった。

およそ40年ほどの年齢差があるので、私が二十歳ころに串田さんのエッセイに出会ったときには既に60歳に近かったことになる。ジジイの風格の中に若さを匂わせてくれる、知的で哲学的なエッセイに酔いしれることができた。

「私はひとりで山の夜みちを何度も歩いたことはあるが、これに似た記憶は、さっぱり残っていない。それは何故だろうか」
書斎に残された原稿の結びの一節だという。詩的であり哲学的である。

家で転んで少し頭を打ち、近所の医者に行きCTをとった。その晩には風呂に入らず休み、あくる朝に息がなかった、という。

悲しい話ですけれど、串田さんのエッセイを数多く読んだ人ならきっと頷けるに違いない。数々の作品のような結末だったといえると思いませんか。

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