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2003年11月25日 (火曜日)

手紙 〔2003年11月下旬号〕

手紙 〔2003年11月下旬号〕

落ち着いて「手紙」を書かなくなったと自分を嘆いている。

ひと月前にMさんへメールを出して、その後、あっという間に11月が終わってゆくのを感じながら、戴いたお返事を読み返し、答えにもならないことを再び綴り始めた。

メールというものが冷ややかな側面を持っていることを、ボヤき嘆きながら浮かんでくる想いを綴る。メーラーのアクティブスレッドにはMさんの返事が表示されたままで、あっさりと消してしまえば良いものを、とても大事に残し時間ができたらゆっくりと返事を書こうと考えていた。

あっという間に1ヶ月が過ぎてゆき、三日に一度は木枯らしが吹く季節に変わってしまった。冬枯れの窓から見える景色を眺めながら、深深と静まり返った部屋にいると、無性に手紙を書きたくなる。訳も無いのに書く。

「手紙魔」だった遠藤周作さんの作品を愛読したからという訳でもないと思うが、私は手街を書くことが好きだ。受け取るほうは困ったものだろう。おそらく流し読みをしてあっさりと棄ててくださっていることだろうと察する。

また何か書こうとしている…いけない、いけない。そんな迷惑なことをしたら、もう二度とメールを戴けなくなってしまう。そんな「怯え」のようなものも抱きながら、やっぱし私はアクティブスレッドからそのメールを削除できない。

Mさんもツーリストだった人だ。ひとりで旅をしてきた。そして今は休眠中。似通った年代で、同じようにバイクで走って街や人を眺めてきたであろう。私とは違った感性の持ち主で、しかも、人柄や性格もまったく違うらしく、旅の日記を読んでいるともうひとり新しい自分が生まれてきて旅をしているような気分になれる。

めっきり、バイクに乗らなくなった自分の変貌ぶりを受け入れたくない気持ちがどこかにあって、Mさんのツーレポを断片的でも読み返したりしていると、再び旅に出たいという自分の気持ちが刺激される。その一方で心の中では、バイクなんかやめてしまえばいいのに…とも思う瞬間が実はあって、それは妻にさえも打ち明けられないことで、バイクが庭に放り出してあっても僕はツーリストなんだという一種のプライドのようなものを大事にしている。

私は写真を残さなかった。Mさんのレポートには、写真がちょうど良い具合に入っていて、お気に入りの写真が一枚ある。「そうか!!この写真のせいで、私はMさんにメールを書いているのだ。」そんなことずっと前からわかっていたかもしれないのに、自分で自分に話しかけて驚いて見せている。

あてもない。理由もない。でも、パソコンの前に座って、12月になる前にMさんにメールを出そう!と思って書き始めた。

手紙だったら、くるくると丸めて、くずかごにポイ…と棄てられる。手紙にとって、何と味のある運命だろうか。メールというモノになってからは、跡形も無く消えるだけ。削除ボタンを押してしまえば、忘れ去られてしまう。ゴルフボールががカップに沈むようなポロンという音もしない。

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